金木犀が香る頃に【我妻善逸】 (ページ7)

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『ここ…毎日来るんですか？』

隣にいる彼にそう尋ねた

「時間がある日はここに来てるかなぁ。日々の学校のストレスを癒しに…」

やっぱり金木犀は安らぐよね。分かる。前にトイレの芳香剤とか言ってた友達に往復ビンタ喰らわせたい。

『分かります、癒されますよね。私もこの匂い大好きで毎日登下校の途中に必ず寄るほどなので…』

私の言葉に、えぇっ！！と大きな声を出す彼。めっちゃびっくりしてる顔。

「毎日の登下校に立ち寄るなんて、金木犀めちゃくちゃ好きなんですね！金木犀マスターの称号あげちゃいたいぐらいです」

『金木犀マスターってなんですか』

彼の言葉に思わず笑ってしまった

ちょっと彼が何言ってるか分からないけど…たぶんきっと褒めてるんだろう。たぶんだけど

出会って間もないのに、彼と話すと会話が弾む。

異性の人と話して楽しいって思えたの…久しぶりの感覚だなぁ

「あっ…何か色々話しちゃってごめんなさい、初対面なのに。引きますよね…俺変な髪の色してるし…」

ぽりぽりと頭を掻きながらバツの悪そうな顔をする彼

すごく、申し訳ないっていう気持ちが伝わってくる

『…そんなことないです。私人見知りなんですけどすごく話しやすいなって思ったし、髪の毛もすごく…綺麗だなって思いました』

なんでこんなこと言ったんだろうって思った

普段の私なら、ましてや初対面の人にこんなこと言うような性格じゃない

でも次々に言葉が口から出てくるんだ

彼はすごくびっくりしたような顔をして

「ありがとう…そういう風に言われる経験あまり無いから、何だか照れ臭いなぁ」

彼は、えへへと可愛く笑った