33 ページ1
二人の姿が見えなくなる。
あぁ言ったからには、帰りたがるの我慢しなきゃ。
それに、嬉しかったのは事実だし。
にしても…
気に入られたからここに残れと言われたが、
これはおそらく、人質だろう。
劉孫の同盟、蜀が裏切ればわたしの命は…。
『そんなこと言ったって、何も始まらないよね』
なってしまったものはしょうが無い。
Aは二人とのいっときの別れを惜しみながら、用意されたあの部屋へと歩を進めた。
赤壁の戦いか…そういえば。
アジアンビューティーな周瑜殿には、奥方がいたような。
少なくともレッ○クリフだとすごく美人な奥さんがいたような、名前は確か小喬。
この世界でも美人なのだろうか。
もしいい人なら、ぜひこの国の作法を教えてもらいたい。
そんなことを考えながら歩いていると、目の前に周瑜が現れた。
「これはA殿、どうかしたか?」
『あ、っと…』
聞くべきか、否か。
こんなに早く会うとは思わなかったため、頭が混乱する。
『えっと━━━』
「周瑜さまー!」
とりあえずなにか声を出そうとすると、少女の声にかき消される。
目の前に現れた声の主は、サイドポニーのロリだった。
「どうした、小喬」
「あのね、さっきお姉ちゃんとね」
いま、なんと言った。
小喬?この子が?
…周瑜殿はロリコンだったのか。
「…ねぇねぇ周瑜さま、この人だぁれ?」
小喬と呼ばれた少女がこっちを見る。
じっと見てたのがバレたか。
『は、はじめまして!劉備軍から来たAです』
「Aって言うんだ!あたし小喬、よろしくね!」
よ、よろしくお願いします…
と控えめに答えるあたり、彼女の天真爛漫さに気圧されているんだろう。
二人はずいぶん仲睦まじいが、夫婦にはとても見えない。
この際いっそ聞いてみるか。
Aは意を決して口を開いた。
『あの、お二人は…結婚ってされてますか?』
その場の空気が、別のものに変わった。
「君にはそう見えるのか?」
周瑜の鋭い返しに、Aは言葉が詰まる。
見えるというか、史実というか。
うまく言葉にできない。
地雷を踏んでしまったのだろうか、と冷や汗をかいていると、周瑜がフッと笑った。
「私と小喬はそんな関係ではない」
あっれー。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちよ(プロフ) - ナッコさん» コメントありがとうございます！ナッコ様のおかげで創作意欲わきました。更新遅くてすみません、頑張ります (2016年9月1日 0時) (
レス) id: 270663b07d (このIDを非表示/違反報告)
ナッコ - 天女様もとい夢主ちゃんの活躍期待しています！応援しています、これからも頑張ってください！！ (2016年9月1日 0時) (レス) id: 8b77a01456 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小森千代 | 作成日時：2016年2月3日 0時
