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「 あっ、あの、…ちふっ、松野くん 」
「 なんだよ成海さん 」
あれからしばらく、
彼に抱きしめられたままのわたし。
一切噛むことなく苗字で呼んでくるのがムカつく。
「 そろそろ、あの、…は、離れませんか?」
「 ……離れてほしーの? 」
「 いやっ、違くて!!」
「 ん?なあに?」
首筋に埋めていた彼は
ゆっくりと顔を上げるとイタズラそうに笑っていて。
彼に敵わないことを一瞬で悟る。
「 離れて欲しくねぇんだろ?なんなら、なに?」
「 べ、べつに離れてもらっても、…っ、」
「 あっそ、なら離れるわ 」
彼の優しい温もりと暖かい体温がわたしの胸から離れていく。
それが嫌で嫌で、
制服の袖に手を伸ばして、きゅっ、と掴むと、
それを見兼ねた彼は
案の定、余裕そうに口角を上げていて。
うっわ、もう、ずるいその顔。
「 どうかした?成海さん 」
「 ちふっ、ちがう、…松野くん嫌い 」
「 いつまで経っても苗字呼びできてねぇなお前 」
軽く笑う彼は優しくて、
胸が、きゅうう、とゆっくりと締め付けられる。
「 成海さんは松野くんに何してほしいわけ?」
「 …は、なれないで 」
「 あ?なーに?聞こえねぇ 」
聞こえてるくせに、そうやって。
余裕そうな彼に、
キリっと鋭く睨みつけて『 ばあか!!』って
心の中でメッセージ。
あほ、松野千冬のばあか。
最後にこれも付けたして。
「 言わねぇなら帰るわ俺 」
「 や、だ!! 」
そう言いながらも、
わたしに掴まれた制服を振り落とす動作は無くて。
きっと帰る気はさらさらない。
両手で彼の制服を掴んで彼を引き止めて。
「 ………離れないで、千冬、やだ 」
彼の瞳から目を離さずにそう言えば、
視界に映る彼は、
ふんわりと優しく微笑んで、
「 俺、場地さんのだから♡ 」
って言葉が返ってきた。
なにおまえうざ!!
これには腹が立って、
『 ほんっっっと!!!キライ!!』
って言い捨てて彼に背中を向けた時。
「 ウソだよ、大好き、A 」
彼の甘い声とともに、
後ろからふわっ、と優しくわたしを引き寄せた彼の体温を背中に感じた。
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千冬推し! - かっこいい!!!!最後のところとかジーンってする!もうめっちゃ好きい!!!!!! (11月25日 17時) (レス) @page19 id: 2875f094c4 (このIDを非表示/違反報告)
千冬〜 - 4ぬうカッコ良すぎる (11月25日 16時) (レス) @page1 id: 2875f094c4 (このIDを非表示/違反報告)
きい - キュンキュンしました!千冬大好きなんでもう本当に良かった!!!!!!!めちゃドキドキした!!!千冬大好きいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!! (11月24日 9時) (レス) @page13 id: 811719e6bf (このIDを非表示/違反報告)
うさ - めちゃくちゃきゅんきゅんしました…やばいです… (11月21日 20時) (レス) @page20 id: 1fc943b7af (このIDを非表示/違反報告)
のあ - よかったです千冬くんの可愛いさがもっと可愛い見えて来ましたなんかありがとうございます (2023年4月30日 19時) (レス) @page1 id: fc0f03648c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆた | 作成日時:2021年8月4日 1時