歌い手さんたちの恋愛事情

▽ ページ49

な「聞いてた？」

「うん、ありがとなるせ」

な「いーえ」


配信が終わってすぐに電話がかかってきて
お礼を言うと満足気に笑ったなるせに
ふとさっきの言葉を思い出した

『まじで大切なんだよ俺、みいのこと』

脳にその言葉がこびり付いて
直接言われたわけでもないのに顔が熱くなる


な「もう寝るの？」

「ん？うん、寝よっかな」

な「ふーん…」


なんだか不満そうな
煮え切らない返事をするなるせ

寝ちゃいかんのか


な「…今から行ってもいい？」

「今から？…でももう寝るだけだよ私」

な「うん、一緒に寝よ？」


甘えるかのような声でそう言うなるせに
胸がきゅうううっと苦しくなる

何この人…付き合うとこんな可愛いの？


「っ、うん…」

な「ほんと？やった！じゃあすぐ行くね！」

「うん、気を付けて来てね」


電話を切って深呼吸する
あぁ可愛い…

嬉しそうななるせの声を聞いただけで
ぱーっと笑顔が咲いたような表情が安易に想像出来る


ほんとにすぐ家を出たんだろう
ものの数分でインターホンが鳴って
オートロックを解錠してなるせが来るのを待つ


ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ


「はあい」

な「抱き締めさせて」

「はい？」


ドアを開けるといきなりそう言ったなるせ
とりあえず家の中に入れると玄関先で抱き付いてきた


な「会いたかったあ」

「さっきまで一緒にいたじゃん」

な「んーでも…少しも離れてたくない」

「…可愛い」


思わず口から出てしまったその言葉に
「俺はいつだって可愛い」と言いながら体を少し離し
私の顔を優しく撫でてキスしてくるなるせ

まだ慣れなくて恥ずかしくて俯くと
そのまま私の頭を抱え込んで再び抱き締めてくれる


な「可愛いね」

「うるさ」

な「恥ずかしいの？照れちゃった？」


余裕そうななるせに腹が立って
体を離してじろりと睨み付けると

「ひひww」と不気味な笑い方をするので
なるせの首に腕を回し顔を引き寄せキスをした


な「へ？…え……？」

「調子乗んな」


ぽかーんとしてるなるせから離れてリビングに行こうとすると
慌てて後ろから必死に着いてくる


な「〜っ、も、もっかい！もっかいして！」

「やだ」

な「お願い！お願いします！」


私の手を引き必死に縋り付いてくるなるせが
おかしくて笑ってしまう


「また後でね」

な「後で！？後でっていつ！」

「ベッドの中で」

な「！？」


びっくりした後ニヤリと笑ったなるせの見て
あ、やらかした。と後悔しても遅かった

to be continued…→←▽

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