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「A」
「え?あ、誠士郎…?」
「うん、他の誰に見えんの?」
「え、だって____」
嫌がらせというのは止むことがなかった。
寧ろエスカレートして最初は御影坊ちゃんにも誠士郎にもバレない程度の嫌がらせだったのに、今ではあからさまに悪質な嫌がらせが増えていた。
だからいくら私が隠してたとしても
2人にはもしかしてバレいるのでは無いかと思ってしまう。
現に今だってそうだ。
誠士郎が私の出る時間に起きれるわけないのに、私が出るよりも早く家の前に立ちながら寝ていたから。
「ふぁっ、山登りとか面倒くさーい。玲王におんぶしてもらう」
「誠士郎をおぶりながら山登りしたら御影くんの疲労凄そう」
一緒に登校するだなんて1年にあるかないかだったから
嫌がらせをされているのに、もしかしたらその事がバレていて誠士郎に負担をかけているのかもしれないのに
久々に隣で並んで登校出来ることが嬉しくて
何気なく会話してるこの時間が幸せで堪らない。
「あ、玲王」
「凪、珍しく早ぇじゃん」
「?玲王と俺で____んぐぐぐっ」
「あー、そうだったそうだった。俺との約束だったな?今日は早く来いって」
御影坊ちゃんのあからさまにおかしい態度が気になってしまったけど
誠士郎の口を塞いで誤魔化したということは知られたくないことなのだろう。
だから私は、そのごまかしの嘘に乗っかってそうだったんだね。と誠士郎に言った。
誠士郎は、うーんみたいな顔をしてから
「でも、俺が迎えに行きたいから、迎えに行ったんだけど」
私の鼻に触れるほど近くに顔を近づけた。
誠士郎のこの無意識の行動は、私をすごく困らせる。
私の気持ちを、彼は知らないから。
こんな事で私は顔は赤くなるし、心拍数は上がってしまうのに
その言葉だけでも嬉しくて舞い上がってしまうのに
「こら、離れろ凪」
「玲王、邪魔しないでよ」
____折角Aが真っ赤で可愛いんだから、俺が特等席で見たいの。
追い打ちをかけられてしまったら私はどうしていいのか、分からなくなる。
下を向くことしか出来ないし
彼の言葉を真に受けて少しでも
ただの考え無しの言葉に期待してしまう。
「…御影くんの言う通り、近いよ誠士郎」
だから、距離を取らなければいけない
これ以上、考え無しの言葉に期待という感情を抱きたくないから。
「残念だったな、凪。A、俺の近く来いよ」
「あ、それは遠慮します」
「連れねぇ女だな、お前」
御影坊ちゃんともだ。
これ以上、女の子の反感を買いたくないから。
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もむ(プロフ) - 咲夜(さくや)さん» 大分お返事遅くなり申し訳ございません……!咲夜さん、読んでいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (11月10日 20時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月29日 18時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月11日 21時