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｢A、おはよ｣
｢あ、誠士郎…お、おはよ｣
｢どうこれ、彼氏っぽい？｣
私が玄関から出ると、誠士郎が何時ぞやと同じく私の家の前でしゃがんでゲームをしながら待っていた。
今日から私は彼の、いや、厳密に言うと彼だけの彼女では無いけど一応彼女になった。
ここで私はまず何をしたらいいのかが分からなくて困ってしまう。
彼女という位置は何をしたらいいのだろうか。
｢ん｣
｢え、なに？｣
｢なに？じゃないでしょ。手、つなごーよ｣
俺の彼女でしょ？と覗き込まれて朝から心臓に負担をかけてしまう。
誠士郎と手を繋いだことが無いわけじゃないのに、変に緊張してしまって手に汗が出てくるのを私は感じていた。
とりあえず手を拭いて普通に包むように手を握ると、誠士郎は違う。と一言呟いて私に手を離すように言う。
私の手汗が思ったよりもすごく気持ち悪かったのかとか少し落ち込んでいると
｢パーにして、手｣
｢え？パー？｣
言われたままにパーにして手を出すと、誠士郎は私の手を絡めて手を繋ぎ出した。
あの頃とは違う繋ぎ方に慣れなくて、手に熱がこもる。
誠士郎の手ってこんなに大きかったっけとか
誠士郎はあの時の誠士郎のままじゃないんだ。なんてそんな分かりきってることを考えてまた心臓がドクンと大きく高鳴った。
｢ねぇ、A｣
｢何？｣
｢んー、なんかさ、俺ちゃんと告白したつもりなんだけど、全然Aに伝わってない気がするんだよね｣
私には誠士郎の心は読めない。
好きだから、見ないように感じないようにしているのかもしれないけれど
私は、誠士郎が好きだから付き合おうと言われても、この好きって本当に恋愛的感情の好きなのかと疑ってしまう。
幼なじみだから、ずっと一緒だから、恋心と勘違いしてしまったんじゃないかって
もし、そのことに気づいた時に捨てられるのも、本当の恋心を知ったと話される1番最初の相手はきっと私だ。
だから、真に受けたくなかった。
真に受けたら私が傷つく運命が、私には見えてしまっているから。
｢そんなこと、ないよ｣
｢ほんと？俺、幼なじみだから、とかじゃないけど｣
｢うん、ありがとう｣
｢ねぇ、ちゃんと俺の事真剣に考えて。玲王だけなんて嫌だ｣
｢か、考えるから、近いよ｣
｢ダメなの？俺彼氏だし｣
狡い人。
こんな風に言うなら2人で共有しようなんて提案しなきゃいいのに
最初から私に告白してくれたら良かったのに
いや、私はあの日揺れてしまったのだあの日、私はあの時即答していたかと言われたら首を縦に振ることは出来ないだろう
ごめんね、誠士郎
狡いのは、私だ
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もむ(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 大分お返事遅くなり申し訳ございません……！咲夜さん、読んでいただきありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (11月10日 20時) (
レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月29日 18時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もむ | 作成日時：2023年10月11日 21時
