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山を登るのは生半可な気持ちでは出来ない。
今私はそれをすごく実感している。
誠士郎も御影坊ちゃんも涼しい顔して登ってて、体力おばけだと思いながらも
私のペースに2人があわせて歩いてくれていることに、優しさを感じざるを得なかった。
トロトロ歩いていたら時間もかかるのに、それでもふたりは文句も言わないし
なんなら、大丈夫か？って沢山聞いてくれる。
｢A、めんどくさいけど荷物持とうか？｣
｢ううん、自分で頑張る…！｣
｢A、無理すんな、少し休憩にしようぜ｣
｢御影くん、ありがとうございます…｣
今日は何もされない。
女の子からの視線は痛いけど、嫌なことはされなくて
いや、学校の時だって決まって私一人のときだったじゃないか。
女の子がなにかしてくる時と言うのは。
今は一緒にいるから何もされないだけだ。
御影坊ちゃんに嫌われたりするのが嫌だから。
じゃあ今日は平和かな？なんて考えは甘っちょろい考えだ。
｢っわ…！｣
｢A、押されたの？｣
｢あ、違うよ。なんか躓いてしまうだけ｣
嘘、あからさまに押されているのは分かってる。
でも、心配掛けたくなかった。
だから、私は2人に嘘をつく。
｢はいA｣
｢え？何してるの？｣
誠士郎は考え無し男だとよく分かってはいたのだけど
まさかここまで考え無しだとは思わなかった。
私の前でしゃがんでおんぶするみたいにしてきたからだ。
いや、山で危ないとか
これ以上注目されたくないとか
誠士郎のおんぶなんて、疲れたーって言ってすぐ降ろすのが関の山とか
色んな思考が頭の中をグルグルと駆け回る。
そのせいで酔いそうなくらい。
｢だって、沢山躓いてるし。疲れたんじゃない？それとも怪我？なら、無理させたくないし｣
｢け、怪我してないし、疲れてない、から、うん。大丈夫だから｣
何時でもおんぶするから言ってよって言いながら誠士郎は面倒くさそうに立ち上がる。
何でもかんでもめんどくさいって言うくせに、こんな時だけ面倒くさがらないところも優しくて好きなんだ、私は。
｢…荷物もってやるから、貸せ｣
｢え、いや、そんな、悪い、ですし…｣
｢いいから、俺が持ってやるって言ってるうちに寄越せ｣
御影坊ちゃん、そんなことさせてしまったら
御影くんを顎で使ってる悪い女って私言われてしまいます。
御影坊ちゃんなりに、私のことも心配してくれてるのは分かってる
分かってるけど
その優しさを受け取ると
よく思わない子で溢れてしまうんです。
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もむ(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» 大分お返事遅くなり申し訳ございません……！咲夜さん、読んでいただきありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (11月10日 20時) (
レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月29日 18時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もむ | 作成日時：2023年10月11日 21時
