23 松野千冬side ページ23
「千冬、くん……?」
戸惑う彼女の声が頭に響いて俺は後ろを振り向けなかった。
思わず出てしまった3文字が
俺を後悔の渦にさらっていく。
いや、絶対言ってない、言ってない
そう心の中で思っても、確かに聞こえるAちゃんの戸惑った声。
言ってしまったのだと、自覚させるには十分な材料だった。
俺は臆病だ。
喧嘩だってなんだって、俺より強ぇやつなんて居ねぇって思ってるし
場地さん以外。
タケミっちにお前のセンスどうにかならないかって大真面目に言われても、俺のセンスピカイチだろって思ってるし。
とにかく俺は、俺に臆病になったことはねぇ。
なのに、Aちゃんだけだ。
俺をこんなに臆病にさせるのは。
カッコ悪くしてしまうのは。
「……と、なんつーか」
「千冬くん…もう1回」
「は?」
「ふふっ」
拷問か?
拷問なのかこれは。
好きな女にもう一度好きと言うのか?思いも通じてるのか同じ気持ちなのか分からないのに?
マイエンジェル、ダークエンジェル再びじゃね???
否、松野千冬。男だろ。
マイエンジェルが所望だろ
男見せるしかねぇだろ
「俺、は」
「松野千冬発見!この間は世話になったな!」
ここで俺は俺の中で何かが弾ける音がした。
マジでムカついた。
事故告白じゃなくて、男、松野千冬の一世一代の告白を邪魔しやがって雑魚がって本気で思った。
「A、危ねぇから安全な所かつ、俺から見えるところにいろよ」
「…っ、あ、う、うん……!」
頭に血が上ってる俺は何もかもが最強すぎてる気がする。
「オラオラ!どうした!1人に10人で来たくせにくたばってんじゃねぇよ!!!」
「グハッ」
「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて何とやらだろ!」
「ウグッ」
自分で何言ってんのかも、小っ恥ずかしいことを大声で叫んでるのも
まさかのマイエンジェルAちゃんを呼び捨てにしてたことも
俺には記憶がございません。
「千冬くんっ!後ろ!」
「あん?っよっと…サンキュ、A」
そして、呼び捨てにする度にAちゃんが真っ赤にして俺を見てるなんてことも、分からなかった。
分かりたかったし、見たかったし
なんて間の悪い男なんだ俺は!!!と何回後悔したことか。
「あ?もう終わりかよ。口ほどにもねぇ奴」
アドレナリンが完全に切れた俺
俺、何言ってた!?って不安になりながらAちゃんを見ると
「千冬くんが怪我するかと思ったぁっ……!」
と、俺はまた好きな女を泣かせてるのだった。
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もむ(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん!!またまたコメントありがとうございます!!!(´;ω;`)本当にご愛読ありがとうございました!こちらこそ、読んでくださってありがとうございます!!!そう言っていただけて私は幸せもんです!本当にありがとうございました! (2023年3月8日 19時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!すごくいい作品で見ていて続きがずっと楽しみで仕方なかったです(笑)いい作品をありがとうございました!! (2023年3月8日 16時) (レス) @page30 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - みいさん» みいさん!ありがとうございます!本当に嬉しいです!時間がある限りどんどん更新頑張りますね!!他作品も読んでいただいてありがとうございます!本当に嬉しいです!元気もらえました!わがままじゃないですよ!嬉しかったです!(*^^*) (2023年3月6日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
みい - もっと読みたいです!(わがまま言ってすみません(・・;))ほかの作品も読んでみます!更新頑張ってください! (2023年3月6日 8時) (レス) @page14 id: 13de0dd53a (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - みいさん» みいさんんんん!ありがとうございます!!!!(´;ω;`)いや私が!!コメントを見て嬉しすぎるが故の卒倒をしてしまいそうです!!!!!(´;ω;`)私にとったら皆様が女神様です!!!!読者様以上の女神はいません!(真顔) (2023年3月3日 12時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年2月5日 22時