こっち向いて！千切くん！【ブルーロック】

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千切くんへ初のメッセージが、食べ終わりました。である。

好きな男の子に対しての初めてのメッセージは重要な、且つ、思い出深いものになるはずなのに

食べ終わりました。なんて、記憶からすぐ消えるに決まっている。

かわいいスタンプとかを添えて華を持たせた方がいいか悩んだ結果の、この質素な文章。


メッセージ1つでもこんなに緊張してしまうのだから許して欲しい。




"OKっす。待ってて"



たったこの一文が嬉しくて

たったこの一文が私の心を高鳴らせる。

何度も何度も見返してしまいながら、頬が緩んで仕方無い。


私が初めて君に恋に落ちた時は、こんなふうに仲良くなれるなんて思ってもみなかったから。


これは奇跡か夢かなにかじゃないかと頬を無意識に抓ってしまう。





｢こーら、何してんだよ｣

｢わっ、あ、千切くん……!?｣

｢痛てーだろ？だめ｣




いつの間にやら来ていた千切くんに抓っていた手を掴まれてしまって

頬を撫でられてしまった。

当然、私の心臓はバクバクと大きな音を立てては飛び出しそうなほど脈を打っていて

頭の中に心臓の音が響き渡っていた。





｢悪いこの右手は俺が掴んでてやる｣

｢えっ？あ、ちょっ……ち、千切くん……！｣





大学の構内。

千切くんのファンは星の数ほどいる。

そんな彼に、人が一際いるこの学食で手を繋がれているということは




｢え？千切くん付き合ってた人いたの？｣
｢えー！千切先輩、私好きなのにー！｣





そう、注目の的に嫌でもなってしまっているのだ。

あちこちから聞こえる悲鳴にも似た声を聞かないふりなんてできなくて、離してと千切くんに何度伝えても

千切くんは俺が繋ぎたいから無理。と私の言葉を聞いてはくれなかった。






｢千切くんのファンにっ、勘違いされる……！｣

｢いーじゃん。その方が俺は都合いいし｣




都合がいい。この言葉を聞いた瞬間に胸に針でも刺されたような苦しい気持ちになった。

そうか、私は都合のいい存在なんだと。

それはそうだ

潔くんたちと友達で、女避けするにはピッタリな人材だ

千切くんが、1ミリでも私に振り向くことは無いと分かっているのに

どうして＿＿＿＿





｢A？｣

｢っ＿＿＿＿うっ……｣





どうして＿＿＿＿




｢A、どうした？どこか痛い？｣




こんな形でも私を見てくれていることに感謝すべきなのに

それ以上を高望みしてしまうのだろう




｢痛く、ないっ…｣

｢周りの声気になるか？｣

｢うう、ん…｣

｢俺、お前が泣くと辛い｣






＿＿＿＿都合のいい女じゃ、嫌だと思ってしまうのだろうか。

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