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「Aのこと、狙っていい?」
「え?千切くん……!わ、私……千切くんが……」
「馬鹿だな、こういうのは男から言うだろ?A____」
「わぁぁぁぁぁっ!千切くん待っ……」
私は私の脳に激怒している。
こんなベタな夢を見せたからだ。
幸い一人暮らし。隣の部屋の人にすみませんでしたと思うけれど家族に聞かれてないだけマシである。
これが聞かれていたら、朝から千切くんって誰?とか彼氏?あら!好きな子!?お父さんー!ってこれもまたベタにそうなるに決まっている。
こんな都合いいことあるわけが無い。
千切くんは王子様で、私は下民。
王子様の気まぐれで仲良くしてもらっているだけなのだから、調子に乗ってはいけないのだ。
「よっす、A」
「あ、おはよう潔くん」
「あー、その、どう、だった?」
「?なにが?」
「何がって……ほら、デートだよ、千切と」
それ以外無いだろ、みたいな顔をしてくる潔くん。
どう説明したらいいのか、私は可もなく不可もなく……と答えてしまった。
狙っていい?の言葉は抜いて。
あれは私の脳が作り出したまやかしである。だから、不確かなことは協力してくれてる潔くん達には言えない。
「あ、でも、助けてくれた!」
「トラブったのか?」
「私の嫌いな元同級生に絡まれて……ね」
ふーん。と興味無さそうにそっぽを向いてしまった潔くん。
こういう時は、やったじゃん!と喜んでくれるのが協力者たるものでは?と思いつつ会話がそこで途切れてしまった。
なにか新しい話題を!ということも無く、ただ無言で歩き続けていると
潔くんは、歩みを止めてしまう。
「……潔くん?」
「俺も、Aのこと助けれるんですけど」
「え?ちょ、っと、潔サン……?近い……から、ね?」
急にどうしたというのか、別に誰も潔くんのことを頼りないなんて一言も言っていないのにどうしてこんな状況になっているのか
誰かに説明を求めたい。
顔を近づけられて照れない人はこの世に存在しないと思うし
なんなら、潔くんのファンに怒られるし悲しまれるから早く距離をとりたいのに手を掴まれているせいでできないし
潔くんのこの行動の意味が全く理解できない。
「つーか、友達なら助けるの普通だし。舞い上がんな、絶対」
「ま、舞い上がってないし、わ、分かってる、千切くんは優しいから……助けてくれたって」
「……やっぱついて行けば良かった。……そしたら、俺が……一番に……」
なんで少し、悲しい顔をするのかも分からない。
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ゆい - こんな素敵な小説初めて読みました。続きが超超超楽しみです!何だかもう生きる励みになります…🥲これからも応援してます!! (2月4日 7時) (レス) id: 2a419589a1 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - あぽろさん» わぁー!!!ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!これからもゆっくり更新することになりますがよろしくお願いいたします!!!! (1月5日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ - この小説大好きです!!キュンキュンしまくりでスクロールする手が止まりません!これからも頑張ってください!!💗 (1月4日 0時) (レス) @page13 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - ちささん» ちささん!ありがとうございます!前作から……!嬉しいの極みです!!!!不定期更新で申し訳ありませんが千切の魅力、頑張って出せるように頑張ります!これからもよろしくお願いします! (12月13日 14時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 「青春とは、恋愛である。」からきました!前作もすごく好きなのですが、なにせ千切くん推しなもので、すごく楽しみです…!現時点でもう大好きです!!更新楽しみに待ってます! (12月12日 3時) (レス) id: 3ee6d9cd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年12月11日 23時