こっち向いて！千切くん！【ブルーロック】

11 千切豹馬side ページ11

｢なぁ、なんで俺ら隠れてんだ？｣

｢いや、ほら、気になんじゃん…！｣

｢コソコソ見るのは正々堂々じゃない、帰る｣

｢ま、ま、ま、待てよ國神様…！プロテイン！そうだ！鶏肉も付けてやろう！｣

｢…よし、見守るか｣




煩い＿＿＿＿。

今すぐにでも声をかけてゲンコツくれてやりたいくらいにバレバレな変装と隠れ方をしている俺のサッカー仲間兼友人。

潔はともかく、國神は完全にプロテインに釣られてやがるのが気に食わない。

正々堂々がポリシーのヒーローな癖に。

ヒーローがコソコソ人のデート覗き見してんのかよって呆れて声も出ねぇ。





｢…お嬢様か、マジか、なんだ、どうした｣




人が早起きしてきたくれぇでお化け見るような顔で見てきたことも絶対許さない。
流石に俺から頼んでおいて遅刻するかよ、と思いながら朝から会話するのも面倒でスルーして準備に取り掛かる。


家賃が3分の1になる、ある程度世話もしてもらえるのが魅力的だと思ってコイツらとのシェアハウスを受け入れ若干優雅な生活中だ。


付けるテレビと言えばサッカー以外ほぼ無く

寧ろサッカーは共通して見たいテレビだから喧嘩にならないのも魅力の一つ。




＿＿＿＿こんなことを紹介している場合じゃなかった。




まず、アイツらをどうにかしなきゃいけない。

邪魔すぎる。

自分で言うのもなんだが、珍しく俺は10分前行動をしているのだからまだAが来るまでに時間があるはずだ。

俺にだけ、あんま懐いてくれないA。

最近は少し話せるようになってきたけど、アイツらと比べると笑顔も向けられねぇし
いつもおどおどしてるし、俺、怖いのか？なんて少しショックを受けたり。


そんな懐かない猫が懐いて欲しいなんて、そんなことを思ってしまう俺が少し変だったり。



｢何してんの、潔、國神｣

｢千ぎ…いや、ダレノコトだ、俺らは今かくれんぼ中で…｣

｢いや、バレバレだっつーの、それ。俺はかくれんぼしてる暇ねぇぞ｣

｢潔、正々堂々じゃないから罰が下ったんだ｣




姉貴の誕生日プレゼントを選ぶという、用事がたまたま、偶然見つけたから誘いやすいと思って誘って

ついでに懐いたら、なんて思ってんのに。

外野がいたら逃げんだろ、猫は敏感なんだぞ。なんて思いながら頑なな潔を説得する俺。




｢お前な、デート覗いてんのバレたらAに嫌われるの確定。俺は知らんぷりするからもっと嫌われんな、お前｣

｢…ぐっ…！わ、わかったっての！帰る！｣



渋々帰ったのを見送って戻ろうとすると



｢ちっ、ち、千切く…！｣



小走りで俺の方に向かってくる、可愛い猫がやってきたのだった。

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