67 最終話 ページ17
「川上さん、本当にありがとうございます。」
「俺は何もしてないよ。ただそばにいただけ。」
「それがどれだけ心強かったことか…。」
「頑張ったのはAさんでしょ。」
彼はそう言って優しく頭を撫でてくれる。
あたしは彼の袖を握った。
「好きです、川上さん。」
突然告白に彼は驚いていたが、気持ちが溢れて止まらない。
「川上さんの冷静で落ち着いてるところも、優しく全部受け入れてくれるところも、低い声も、綺麗な手も…」
と、まだたくさん言おうと思っていたのに、川上さんの手があたしの口を覆う。
「それ以上言わんといて…照れるやろ。」
彼は恥ずかしそうに視線を外して俯いた。
すると、顔を上げてじっとあたしの目を見ると口元を押さえていた手が頰を包むように触れた。
「…ズルいよね。いつもそれにやられるんだよな。」
そう言いながらふわっと軽く唇を重ねる。
「俺も好きだよ。」
低いけど、柔らかく優しい声で言われて胸が熱くなった。
「…もっと、続きが欲しいです。」
ダメなんだよな、あたしすぐ我慢できなくなるんだよな。ほんと女としてどうかと思うけど。
川上さんは面白そうにくすっと笑う。
「Aさんのその欲求に忠実なところも好きだよ。」
「痴女でごめんなさい」
そしてあたしの望み通り、そのあと深いキスとその続きをくれた。
もうひとりぼっちじゃない。
これからも一筋縄ではいかないことがたくさんあると思う。
でももう大丈夫。
支えてくれる人たちと、支えたいと思える人たちにあたしは出会えたから。
__________________
本編、やっと完結しました。最後までご覧いただきありがとうございました。
題名の通り、主人公に託したテーマはcleverです。人に対して、ちょっとズルい!と思わせることを無意識のうちにやってしまう小悪魔的な性格をどうにか出したかったのですが伝わりましたでしょうか。
長々と続けてしまいましたが皆様の応援のおかげで書ききることができました。
本当にありがとうございました!
今後はAちゃんとQKの日常的な部分を短編にしてお送りします。
まだまだ投稿は続きますので最後までよろしくお願いします!
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なぁ(プロフ) - 咲良さん» そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます、楽しみにしています! (2019年2月19日 21時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» いえ、とても素敵なテーマです、是非考えさせて下さい。せっかくだし川上さんオンリーからみんな目線も考えてみたいので、短編集などで登場させたいと思います!本当にありがたいお話です! (2019年2月19日 21時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - よくよく考えずとも、お返事頂けた嬉しさで調子に乗っておりました…。いつかの機会に、気が向いたら程度に思ってください。すみませんでした…! (2019年2月19日 17時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - 咲良さん» ご検討有難うございます!こちらこそ、図々しくすみません。むしろ、別作品なんて良いのでしょうか??泣いて喜ぶんですが…(;・∀・) (2019年2月19日 13時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» ごめんなさい、前言撤回します。いただいたテーマ、私の文章力では1話にとどめられそうにありません。また別の作品として描かせていただくことは可能ですか? (2019年2月19日 0時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲良 | 作成日時:2018年11月24日 20時