heartache 2

番外編 妃菜子の恋 12 ページ45

掴まれた手を見て、卓也の顔を見る。

目が合ってそらせない。

私は立ち上がれずに、そこにまた座った。

「…起きてたの？嘘でしょ？」
「…全部丸聞こえやけん、俺やって恥ずかしいわ。」

は、博多弁がでてる！
こんなときにきゅんとするのやだ！

卓也は眠そうにぶつぶつと言葉を紡いだ。

「…なんも言わなくてごめん。抱いてごめん…。でも…俺は別に…あれで終わろうとしたわけでも…なんでもないとよ…。妃菜子が可愛すぎたけん…。」

私の顔がみるみる赤くなるのがわかる。

やだ、この人もうほとんど意識飛んでる状態でこんなこと言って、本音なんだってわかるじゃん。

「…俺だってお前のこと、好いとうよ。」

だめ、射抜かれた。

私死んでしまいそう。

そんなことを思っているうちに、彼は寝てしまっていた。

泣きそう…。つっかえていた何かが取れたみたいに。

寝てしまっても、卓也は私の手を掴んだままだった。

気づくと私もベッドに突っ伏して寝てしまっていた。

肩を揺らされ起こされる。

「ん…」
「妃菜子。」

顔をあげると、卓也が体を起こし私の顔を見ていた。

「…熱、だいぶ下がったっぽい。」
「そっか…。よかった。あ、じゃあおかゆ作ってくる。」
「なぁ、俺寝る前なんか言ってた…？」

立ち上がった私に卓也が恐る恐る尋ねる。

そりゃそうか笑

「…博多弁で卓也の本音、言ってたよ？」

私はいたずらっぽく卓也に言ってみた。

「…嘘やろ。え、あ、うんちょっと思い出してきた…。あー、俺言ったね、やばい恥ずかしい。」

どこからどう見てもうろたえている。

くっそ、可愛すぎか！

「私も卓也のことめっちゃ好いとうよ！」

からかうように言うと、卓也が困ったように笑う。

「お前ほんともう…。妃菜子ちょっとこっち来て。」
「ん？」

手をぐいっと引かれ、卓也の上に乗ってしまった。

「わっ…」

やばい、顔近い。

そのまま唇が重ねられ、私も期待していたかのようにそれに答えた。

唇が離れて、目と目が合う。

「風邪移ったらごめん。」
「いいよ〜。私風邪には強いもん。」

すると卓也が真剣な顔で言う。

「好きだよ、俺と付き合って。」

そんなの、答えは決まってるけど。

「ねぇ、それ、もう一回博多弁で言って？」
「嫌だよ、恥ずかしい。」
「お願い！」

わかったよ、と彼は渋々口を開いた。

「お前のこと好きやけん、俺と付き合って。」

私は今度は自分から唇を重ねた。

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