heartache 2

52. ページ3

もうすぐ9月になる。

日ハムのクライマックスシリーズの出場は多分確実というところ。

会社で異常な眠気と闘いながら作業をしていた。

コーヒーを飲み目を覚まそうと試みる。

「高橋ー、ちょっと去年の資料でこれとこれ持ってきてくれないかー。」

と、課長があたしに2枚紙を渡しながら言う。

「はい。」

あたしは受け取りながらさっと目を通し、隣の資料室へむかった。

どこかなぁ、とキョロキョロして、ぱっと探している資料を見つける。

「おお、だいぶ高いところに…。」

ひとりごとを漏らしながらファイルへと腕を伸ばす。

とれた、と思ったのもつかの間、ぐらりとまた視界が揺れて、ふらっと体がバランスを崩す。

…あ、また。

あたしは膝に手をつき体を支えるけど、結局力がぬけるようにそこにしゃがみ込んだ。

何だこれ…貧血か？

ちょっと遠くなる耳で、ガチャと資料室が開くのを感じる。

「…おい！高橋！大丈夫か！？」

この声は原田さん…。
最近まともに話してない原田さん…。

原田さんはあたし肩に手をおいて顔を覗き込むようにしゃがんだ。

あたしは無理やり顔をあげる。

「…大丈夫です、ちょっとめまいがしただけなんで。」
「そんなへこたれて大丈夫なわけねぇだろ。ちょっと休め。立てるか？」

原田さんに腕を掴まれ立ち上がる。

普通に立てるしそんなにひどくない。

でもまぁ一応休んだほうがいいのかな。

「すみません…。」

休憩室へと連れて行ってくれる原田さんにそう言う。

休憩室のベッドにちょっと横になった。

「課長に言っておくからちょっと休んでろ。」

原田さんがあたしの探してた資料ももち、休憩室から出て行こうとした。

「原田さん、ありがとうございます…。すみません。」

久しぶりにちゃんと話す原田さん。

原田さんはあたしの顔を見て、ちょっと微笑んでから出て行った。

…てゆーか、なんなんだろ、この貧血は。

53.→←51.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す