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198 side Nissy ページ48

今日は診察日。
手術から2週間ちょっと、
初めて声を出す日だ。


いいって言ったのに、
付き添うと言って聞かないるりを
待合室に置いて
一人で診察を受ける。


そして診察を受け終わって、
るりのもとへ行く。


「に…しじま…さん?」


不安そうに、
掠れた声で俺を呼ぶ。


西「るり。」


久々に呼ぶ、大好きな人の名前。


あっという間に、
るりの大きな目から
涙がぽろぽろとこぼれ落ちていく。


西「るり。」


もう一度呼ぶと、
るりはその場に崩れ落ちるように座り込み、


「よか…っ、た…。ひっ…く。

ほ、んとに…よかっ…た。」


両手で顔を覆いしゃくりあげながら、
よかった、
と言い続けるるりの姿。


西「ありがとな。」


るりの頭をくしゃっと撫でる。
まだ想いを伝えられなかった頃、
るりに触れたくて
よくこうして頭を撫でてた。


西「まだ歌えないけど、
話は普通にできるって。」


「は…い。」


西「るり、今日は休みだよな?
どっか寄って帰ろうか。」


うんと頷くるりの腕を
そっと引いて立ち上がらせる。


手をよけて、顔を覗き込む。


西「もう泣かないの。

俺はるりの笑った顔が見たい。」


両手で涙を拭ってやる。


「はい。」


真っ赤な目で、無理に笑顔を作るるり。


西「よし、行こ!」



外に出ると
まだ夕方なのに、
空はだいぶ暗い。


西「さて、どこ行こうか?

なんか、リクエストある?」


と聞くと、
るりはうつむきながら、


「西島さんと二人きりになれるところに、

行きたい…です。」


と言う。
その言葉に、ドクンと心臓が音を立てる。


西「…えっと。


あのさ…。


そういうセリフ、どういう時に言うか、
わかってる?」


一応確認してみる。


「わかってる…と思います。」


どういう時ですかー?
なんて返事が返ってくることを、
少し期待していたのかもしれない。


でも、るりの答えはそうじゃなかった。


たぶん、
俺の話を聞く覚悟をしていたんだろう。


西「後悔、しない…?」


「絶対にしません。」


その言葉を聞いて、
俺も覚悟を決めて車を走らせた。

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - ちゃんうめさん» ちゃんうめさん。コメントありがとうございます!温かいコメント頂いてとても嬉しく、こちらこそ感謝です☆ (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - 由希さん» 由希さん、ありがとうございます!やっと続き書き始めました!引き続き楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - りんさん» りんさん、ありがとうございます!すっごく嬉しいです。続編、書き始めたのでよかったら引き続きよろしくお願いします! (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - いろんな方の小説がある中で、やっぱりこの話が1番大好きです本当に( ; ; ) ずっとずっと読み続けたいです…お話楽しみにしてますね! (2018年5月17日 21時) (レス) id: 76f9ce82a3 (このIDを非表示/違反報告)
由希(プロフ) - 4終了お疲れ様です。続き楽しみに待ってます (2018年5月16日 23時) (レス) id: ec5f86864e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2018年4月14日 21時

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