大好きな人は。4

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まだ自分の体調も全快でない私。
西島さんが休みだから、
特に忙しくない日は
休みにしてもらっていた。


西島さんは今日入院して、明日が手術。
私も今日は退院後の診察の日。


病院での診察を終えて、
なんとなく、西島さんが入院するクリニックに
足が向いてしまう。


外から建物を見上げて、
どこの部屋かななんて、考えてるわたしはまるで
ストーカーみたいだと苦笑する。


西「速水？」


呼びかけられて、びくっとする。


「西島さん…。」


西「なにしてんの、こんなとこで。」


感情のこもらない声と
サングラスの奥に隠れた目。


「えっ…と、たまたま！
通りかかって…。

いや、散歩？
そう、お散歩してました！



じ、じゃあ、失礼します。」


くるっと回れ右して西島さんに背を向けると、
西島さんがクスクスと笑う声が聞こえた。


恐る恐る振り返ると、


西「散歩って…。

嘘つくの、下手すぎ…。」


と込み上げる笑いを抑えきれない様子だった。


何日かぶりのその笑顔に、


「そ、そんなに笑わなくても…。」


と私の顔も緩む。


西「心配して、来てくれたんだろ？
ありがとな。」


そう言って、
私の頭に手を伸ばしかけて、
ハッとしたようにその手を止めた。


西「…ごめん。」


「いえ。」


和みかけた空気が、
また冷たくなる。

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