大好きな人は。4

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自然の音以外何も聞こえない静かな空間で、
言葉を交わすことなく過ごす。

二人でご飯を作って食べたり。
お茶を飲んだり。


そうしてると
昨日のグチャグチャした気持ちも、
自然と忘れ何故か穏やかな気持ちになる。


西島さんはもちろん、
話さないし、私も何も話さない。


西島さんは時折ノートパソコンを開いて、
何か作業していて、
その隣で私は本棚にあった本を読んだり、
外をぼんやり眺める。


私がピアノを弾けば、
近くに座ってただそれを聞いている西島さん。


二人で夕飯を作って食べて、
交代でシャワーを浴びて、
ブランケットを持って望遠鏡の部屋に向かう。


一緒にブランケットにくるまり
交代で星を見る。

こんな風に星を見るの初めてだと伝えると、
色んな星を見せてくれて、
ひとつひとつに感動してる私を
優しいまなざしで見つめる
西島さんの視線に気づき頬が赤くなる。


目が合って、ぎゅっと抱きしめられる。


周りが静かすぎて私の心臓の音が
西島さんに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい。


「私、幸せです。」


と呟けば、
西島さんは驚いたように目を開く。


「大好きな人のそばにいられるだけで幸せです。

嫉妬したり、
悩んだり、羨んだりするけど、
それでも、西島さんのこと、
近くでサポートできるだけで
もう十分幸せなんだなって思います。


だから…。


西島さんは西島さんが思う道を進んでください。


私はちゃんと着いていきます。
だからもう、悩まないで。」


そう、気づいたんだ。


時折、ふと漏らすため息。
ぼんやり宙を見つめる目。
悩み事がある時にでる頭を掻くくせ。


「ちゃんと信じてますから。
西島さんの気持ち。
私を好きだって言ってくれたこと。


でも、私たちにとって今はその時じゃない。
そうですよね？」


西島さんの目がゆらゆらと揺れて、
不安げに彷徨う。



「心配しなくても、
他の人のところなんて行きませんよ？」


と笑顔を作る私。


西島さんが一番大切なものは、
自分の音楽を表現することであってほしい。
その場所がＡＡＡでもソロでも同じ。
その道を邪魔したくないし悩ませたくない。


笑ってファンのみんなの前に立っていてほしい。



「声がでるようになったら、
西島さんの思ってること、ちゃんと、
西島さんの声で聞かせてください。


私は、今の私が思うこと、
たぶん、ちゃんと言えたと思う。」


そう言ってまた西島さんの胸に顔を埋めた。
不思議と涙は出なかった。

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