扉あければ 、

◎ ページ23

＿







「いらっしゃいませ」







このお店にくるのはもう何度目だろう


あの日から随分と日が経ち、
少しばかりの個人情報を知り得る中にもなった。


藤井さんのいつもより少し上ずった声に違和感を覚えながらもお気に入りのクッキーを手短にトレーに載せる








「.........あの、」



「大事な話あんねん、キッチンで待っとってくれん?」








会計時、そんなことを言われて


戸惑いつつも顔を上げると口元を手で覆い恥ずかしそうにしている藤井さん。



こんな表情私にしか見せないんじゃない?



初めて来た日の女子高生と似た子達が後ろでは騒いでいる。


自意識は高めに、藤井さんの余裕のない顔に自惚れながら「わかった、」小さくそう返事をした








「ありがとう」








この笑顔に私は弱いらしい









＿

◎→←◎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す