【na･po･li】ナポリの始末屋たち (ページ32)

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私の前に置かれたマシュマロ入りのココア

甘い匂いが体を溶かしていく

「せやな〜、俺が覚えてるんは部屋がきったなかった事やな」

「やだそんなこと忘れてよ」

「あの汚い部屋の中でガリガリのAが1人縮こまっててなぁ、ほんまに可哀想やったわ」

私のココアを作るついでに自分の分も作って
1口すすってアチッと呟く

「みんなはあの日何で私の家に来たの？」

「何でやっけな…。あ、蘭たんが言い出しっぺやった気がするわ」

「蘭たんが？」

「んー、よう覚えてへんなぁ。でもどっかに行って戻ってきたと思ったら女の子を救いに行く言うてな」

「何で？」

「分からへんよ、俺蘭たんちゃうもん」

すぎるはいつも適当で
それでいて素直だ

「あー、なんやっけな、その前日かに蘭たんの友人亡くなった言うてたな。そのせいで敏感になってたんちゃうかな」

「ふーん…」

蘭たんの友達も、私のお兄ちゃんと同じ頃に亡くなってたんだ

知らなかった

そう言えばお兄ちゃん、生きてれば蘭たんと同じくらいの年齢だったっけ

「…まさか」

「んー？」

「なんでもない…。すぎるココアありがとう」

甘すぎるココアが喉を通る

その亡くなった友人がお兄ちゃんだったとしたら

まさかね