【na･po･li】ナポリの始末屋たち (ページ30)

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「蘭たん、またそれ見てんの？」

蘭たんは何か考え事をする時にとあるものを見る

「ん…まぁ」

10年前、助けた少女の兄が付けていたネックレス

本当はあの時、Aに渡そうとしてAの兄の遺体からこっそり盗んでいたのに

今も蘭たんが持ったまま

「どうしても、ここの隙間の血が取れなくて」

「10年越しだからな〜。取れなさそう」

五條浜のパソコンで例のものをAが見つける前、
蘭たんがはよくこれを眺めていた

Aにはバレていないけれど

きっと

「蘭たん、Aが俺達のこと不審がってる」

「そりゃそうだよな」

「あの子が何をどれだけ覚えてるかは俺には全く分からないけどさ、早いうちに本当のこと全部話すべきだと俺は思うよ」

きっと蘭たんもそれは分かりきっているはず

でも何となく、言いにくいんだ

Aの兄の形見が渡される時、Aに全てが話される時

「…なぁ蘭たん」

「んー？」

「わざとだったんでしょ」

「何が」

「…いつから五條浜とAの親が繋がってるって気付いてたの」

ネックレスを磨くのを諦め、
自分の愛銃を磨こうと手を伸ばした蘭たんが動きを止める

そして小さく口を開いた

「10年前から、あいつの兄ちゃんから聞いてた」

蘭たんの引き出しの中から出てきたのは一枚の写真

無垢な表情で笑う蘭たんと、
その隣で笑う男の子の胸元には見慣れたネックレスが光っていた