【na･po･li】ナポリの始末屋たち (ページ29)

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あれから7年くらいの年月が過ぎ

ふと考えるのは

あの子は今幸せに過ごしているだろうか
今何をしているのだろうか

そんな事

仕事を終えてもう深夜
すぎる達が甘いものを食べたいと騒ぐからついでに俺もコーヒーを買おうとコンビニに寄った時

制服の女の子がコンビニの近くのイスで据わってうずくまっている

何だこの時間に物騒だな

なんて思って
面倒なことに巻き込まれるのは御免だ、と通り過ぎようとした

なんとなく気になって横目で見ると
ドクン
と、胸が大きく鳴った

見覚えのある飾り
見覚えのあるピン

自慢じゃないが俺は記憶力に長けている

覚えてる

「あ、あの…」

なんの考えもなしに声が出ていた

一瞬ビクッとして顔を上げた女の子

昔救出した女の子と同じ目をしている

腕をみると傷だらけ痣だらけ

血の気が引くのを感じた

「まさか……ついてきて」

また何の考えも無しに
泣きそうな顔の女の子の腕を掴んだ

その腕はあまりにも細くて折れてしまいそうで

もちろん3人には怒られたけど、あの日のあの女の子であると伝えたら話はまとまった

精神的に疲れすぎたのか
話しかけても返事ができない女の子

喋ろうとしても声が全然出ていない

名前をつけるのが苦手な俺たちは
申し訳ないと思いつつ、今日の相手から名前をもじってつけた

A

いくらか回復して声も出せるようになった頃
昔のことを覚えてるか聞いたけれど
何も覚えてないと言った

親戚から話を聞いて、親と兄が事故死したと聞いたと

少しだけ安心した

そして俺たちはこの子を、Aを、守っていこうと約束した