今宵は月が赤いですね。光ノ章

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◇◆◇




「よもやよもや、師弟喧嘩はよくないな！！」


「どうせくだらん原因だろう、放っておけ」


「二人とも難しくなる年頃じゃねェか。
あんま騒ぐな、ゆったり見といてやれやァ」




『やだ実弥だいすきっ！！』


「離れろ糞ガキ」




あくまであの慈しい目は霞柱へのものだった。
寂しいよ私だって霞柱と同い年なのに。

JCよ？


なんか空しくなってきた。




『…で、何のために集まったんです？』


「無限列車の任務報告だよ地味馬鹿女が」




鬼滅キャラ皆私に辛辣すぎて泣けてくる。
ただしメンズに限る。炎柱は除く。


ちえっ恋蟲まだかよ、味方いないじゃん。




『煉獄の兄貴いいぃっ！！』


「どうした！俺は先刻君を叱ったはずだが！」


『だいすきです兄貴！』


「よもや！君は時透少年と恋仲では！？」




頭がフリーズした。




「よく来たね、私の可愛い剣士(こども)達。
……そろそろ会議を初めても良いかな？」




私やその場の柱一同、
慌てて声のする方へ頭を下げる。

クスクスとお館様が笑う声がして
恥ずかしさを抑えるのに苦労する私。


何を言おうか悩んでいたら、
隣から兄貴がフォローを入れてくれた。




「すみません、お館様！！

年下とは言え共に戦った盟友、
場をわきまえず話し込んでしまいました！」


「いいや、杏寿郎。
君達の絆の深さがよく分かる、良い兆しだ」




優しいお声が私達を包み込む。

それも嬉しいけど、兄貴に盟友扱いされてるの感激すぎて泣けてくる私。


改めて、守れたんだなぁって思う。
しつこいけど。




「それと…。二人は恋仲、なのかな？」

「ブハッ」




音柱 後で覚えとけよ。
お館様に見えない角度で思い切り睨んだ。

ごめんなさいお館様。
全然仲良くないみたいです私達。




『……っ』

「違います」




何か言おうと口を開くと、
被せるように師範の声がお庭に響いた。


ゾッとするくらい冷たいその声は、
とても昨日あんな事をした人とは思えない。

こんなに冷酷な声を聞くのは久しぶりだった。




「僕はAの師範です。

だけどそれ以上の事はない、あり得ない。
そんな事にうつつを抜かしてる暇はないから」




柱一同が凍りついた。

そう、これが本来の記憶のない霞柱。
最近の行動が変だっただけで、
あくまで本物の姿はこんな感じなんだ。

だけど元に戻るから辛くない。
私は知ってるんだ、既知って何より強いから。


なのになんで、私は泣いてるんだろう。

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