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◇◆◇
『じゃ、師範って呼べばいいですかね』
「何でもいいよ。…どうせ忘れるから」
師範となる人物に荷物を持たせる私とは。
煉獄家を後にして、時透邸へと向かっている。
もうすぐ夕方だからすこし急ぎぎみ。
「分かってると思うけど、本当に忘れるから」
『大丈夫ですよ、毎朝自己紹介しますから』
本当に、全然辛くないよ。
こんな中でも垣間見える優しさを知ってるから。
無限列車で庇ってくれたとき、
戦闘なんか忘れるくらい嬉しかったんだから。
「……そう」
傾いてきた太陽に照らされる師範の顔はすごくキレイで、思わず見とれてしまう。
推し以上に、大好きだからこそ。
私を忘れられるのより、この気持ちの方が辛い。
「……君は、僕とは違うよね」
『え?』
「いや、何でもない」
師範の歩く速度が上がり、必死に追いつく。
師範が手加減をしてくれてるのか、
私の体力がついたのか、
どっちか分からないけれど、前に一緒に走ったときよりも息ぎれしなくなっていた。
『…師範?』
相手の心が分からない時ほど、不安な物はない。
確かに実力差は天地以上にあるけれど。
きっとそういうことじゃないよね、今のは。
「ほんとに何でもないから。早く行くよ」
『……はい』
継子として認めてもらえたはずなのに。
正式にも近づけたはずなのに。
遠ざけられた感じがする。
『師範、帰ったらどうします?』
「流石に今夜は稽古はつけないよ」
『お腹すきましたねぇ』
「…夕餉食べたばっかりじゃなかったかな」
『ねぇ、今夜暇ですか?』
「暇なわけないでしょ、夜間警備だよ」
『じゃ近場ですね、あの店行きましょ!!』
覚えてもらえていないなら、
その時限りでも覚えてもらえるように頑張る。
遠ざけられているのなら、
もう1度近づけるように頑張ってみる。
どうせ明日には全部忘れられてるんだ。
先刻の気まずさだって、消えてなくなる。
じゃあもう何したって同じじゃんか。
今、この瞬間を楽しいひと時にすればいい。
『いっぱいありますねぇ、どれにします?』
「…好きなの選べば。何でもいいよ」
道中の小さな街で、甘味処を見つけたので、師範を無理やり引っ張って入店。
全く元気な継子だ。
師範もどうやら呆れているみたい。
『ん〜、どれにしよっかなぁ』
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さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 今日1日で向こう1ヶ月分の喜びを感じた気がします、コメありがとうございます! むいちろくん可愛いっすよね…っ!スーパーエンジェルになってもらえるよう精進します、更新のんびですが見守ってやって下さいな…!! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - もう、更新楽しみすぎます!無一郎天使!遊郭に炭治郎いないの痛いですねぇ〜勉強頑張ってくださいね! (2021年6月15日 20時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 澪凪さん» 澪凪さんっ! コメント本当活力になります、ありがとうです〜! またイチャつかせますので発狂しちゃって下さいね(( (2021年4月19日 23時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 〜〜〜〜〜っ!!ヤバいです可愛すぎて発狂しそう…!! (2021年4月18日 23時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 星猫さん» 鬼滅&響け!ユーフォニアム&ちびまる子ちゃん……くらいしかまともに見たことないですね。呪術も気になってるんですが乗り遅れてしまってて(;^ω^) (2021年3月29日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年3月22日 21時