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遊戯。 ページ8

楽しげに笑い、三人目の男は太宰の手から髑髏を取った。


フョ「そんな嘘では戯曲は紡げない。義兄さん(にいさん)・・・否、観客も興醒めです。」


露西亜帽(ウシャンカ)の耳当てを揺らしながら歩いてきた黒髪の男が、紫水晶の瞳で二人を睥睨した。


澁「“魔人”フョードル君・・・君にも踊ってもらおう。私の協力者として。」


和やかにフョードルを迎える澁澤の横で、太宰が笑いを零す。


太「協力? 彼が裏切る可能性が一番高いよ。」


フョ「全くその通り。」


フョードル自身が愉快げに同意し、席についた。


太宰とフョードルの言葉を受け、澁澤は静かに席につく。・・・と、ナイフが増える。


コツコツと足音。席につく三人と対象的な黒に身を包み、三頭の白霊狐(はくれいこ)を纏うAが三人の前に姿を現す。


Aさん、と太宰。義兄さん(にいさん)、とフョードルが呟く。


澁「“九尾狐”(ルナ)・・・もといA君。」


『僕は踊らないよ? 僕は傍観者・・・・云わば観客だね。君等が進めるこの遊戯(ゲーム)の終着点を見届けよう。』


ゆったりと席に座るA。澁澤は「成る程」と笑みを零した。


澁「流石は(ルナ)・・・・上から眺める、と。」


『まァね。だから協力なんてしないし、手出しもしない。僕は暇を潰すだけだ。』


そうだと良いけど、と零す太宰。


澁澤は柔らかく、自信に満ち溢れた表情になる。


澁「今まで私の予測を超えた者は誰もいない・・・・期待しているよ。」


一人の傍観者、そして三人の演技者の目的と意思とが交錯する。結末は未だ見えない。


そもそも彼らの目的など、誰にも判らないのだから。


もっとも、と歌うようにフョードルが口を開いた。


フョ「一番気の毒なのは、この街の異能者諸君です。」


極寒の地にある氷を思わせる、冷え切った笑み。


隣のAも仮面で目元が隠れてはいるが、同じ様な、冷え切った笑みを浮かべている。


フョ「我々演技者(プレイヤー)三人の誰が勝ち残っても、彼らは全員死 ぬのですから。」

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作者名:ぴみゃ | 作成日時:2018年3月21日 19時

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