【鬼滅の刃】ねぇ、守れたよ【肆】

【佰拾捌】夢幻。 ページ18

※因みに読み方は夢幻(むげん)。
この意味……分かりますね？

※無限列車編のタイトルで採用してたんですが入れ忘れてました(´；ω；｀)

※夢幻の列車というタイトルで何処かで入れる予定でした。
因みに読み方は普通に夢幻(ゆめまぼろし)です。



□□□□□
side無し

煉獄杏華が眠るように倒れた。

その報せを聞いたしのぶは、思わず気絶してしまいそうになった。
対処法を決めかねているうちにこの仕打ちか。
自分の無能さに反吐が出る。

しかし、嘆いたとて状況は変わらない。

すぐに杏華を別室へと移し、検査を始めた。

結果は────異常無し。

ただ眠っているだけだった。
しかし、今のこの状況じゃ決して良いとは言えない状況だ。
このままでは、杏華が────本当の意味で、殺されてしまう。

しかし、打開策が無い訳じゃない。

人払いをし、しのぶと杏寿郎、それから未だ起きる気配が無い杏華が眠る部屋でしのぶは煉獄に話を持ち掛けた。

し｢……煉獄さん、お願い出来ますか？｣

煉｢…あぁ。
大切な姉上の為なら、幾らでもやってみせよう｣

しのぶが杏寿郎に提案したのは、こうだ。
まず、杏寿郎が杏華の横で彼女の手を握りながら眠りに落ちる。
一見荒唐無稽に見える作戦だが、ちゃんとした理由がある。

さしもの二人も、根拠なしに断行するなど愚かな事はしない。

杏寿郎曰く──────｢昔、幼い頃姉上と手を繋ぎながら寝た事があったんだが……驚くことに、二人共同じ夢を見ていたのだ！姉上から聞いて、その時はとても驚いた物だ！｣───……らしい。

唯の思い出話しに聞こえるそれだが、聡いしのぶはそこからヒントを得ていた。

もしかしたら、杏華と手を繋いで眠れば彼女を夢から連れ戻せるのでは無いか……と。

根拠は杏寿郎の証言にしか無い……寧ろそれすら根拠と呼べるかすら怪しい…が、隊の中でも｢仲良し姉弟｣｢愛情深すぎて目が潰れそうになる｣｢てぇてぇ｣｢幸せになって｣と常々噂される二人だ、やる価値は十分にあろう。

愛情や大義名分だけで全てが丸く収まる程甘い世界では、無い。

だが、何もやらずに大切な彼女が本当の意味で眠り落ちるのが二人にとってはよっぽど嫌だった。

だからこそ、やらなければ。

し｢……良いですか？煉獄さん。
まず、杏華さんの手を握って目を閉じて下さい。
それから深く深呼吸を｣

言われるがままに手を握り、深く息を吸う杏寿郎。





一度は失ったと思ったこの手の温もりを─────冷たくなんてさせるものか。

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