【佰拾玖】夢幻の眠り姫。 ページ19
side無し
煉｢……此処は｣
どうやら、無事夢の中に入れたようだ。
立っている筈なのにふわふわと浮いているような不思議な感覚。
そこは─────やたらと洋風な、子供部屋らしき空間だった。
色とりどりの積み木に、ぬいぐるみ……そう、百年先の子供部屋の風景がそこには広がっていた。
子供がいるのだろうか、実際に使われた形跡が残されていた。
不意に、景色が入れ替わる。
煉｢！｣
色とりどりの空間とは打って変わって、彩りのない真っ黒な空間であった。
そこで背を向けて佇む───見覚えのある背格好。
煉｢ッ姉上！｣
思ったより早く邂逅を果たせた。
長居はせず、早く共に帰ろ────
と、杏寿郎が彼女の背に手を伸ばそうとした、その瞬間。
『着いてくるな』
煉｢ッ！(ﾋﾞｸｯ)｣
普段の姉とは思えない程、冷たい声であった。
思わず、出した手がビクリと固まってしまった。
うっそりと振り返った彼女の瞳は、最早別人に見える程冷たい光を宿していた。
『君には関係ない』
『良いからさっさと戻れ』
煉｢しかし姉上、俺は……｣
『私の言うことが聞けないのか！！』
少し強めに怒鳴る杏華の顔には、暗く影がかかっていた。
今も昔も、姉の怒鳴り声は酷く威圧的だ。
ビクリ、とまたもや情けなく身体を震わせてしまう。
呆気に取られているうちに、杏華はスタスタと向こう側へ歩いて行ってしまった。
ハッと息を飲み、訳も分からぬまま遠ざかっていくその背を追った。
『……着いてくるな』
しかし、またもや昏い声色と瞳で制止されてしまった。
杏寿郎は、こんな怖い姉など知らない。
いつもいつも優しくて、まるで母のようであったのに。
そうこうしているうちに───彼女は、消えてしまった。
呆然としている、杏寿郎を残して。
煉｢姉上…！｣
煉(何があったかは知らぬが、謎に拒絶されてしまった……！しかし、このままでは不味い…！また姉上を見つけなければ…！)
と、先の見えない暗闇へ歩き出そうとした刹那────クンッ、と不意に杏寿郎が着ていた着流しの裾が引っ張られた。
煉｢……ッ！｣
咄嗟に足が着く部分を蹴りあげ、距離をとる杏寿郎。
今は刀を持っていない丸腰の状態。
反射で拳を構えはしたが────、
煉｢……む？｣
？｢…お願い、姉ちゃんを助けて｣
黒髪黒目の、幼い少年が立っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茨の谷の第二王子 - すみませんw私あんまり優しくないのでのところでどこぞの糞カラs((ﾝ"ﾝ"学園長を連想してしまったw誰か僕を○してくれw (2022年2月18日 15時) (
レス) @page28 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます(*´ω｀*)無事に治って良かったです！ (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 私も大好きです…！皆で酒盛りして欲しかった……(願望) (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 風邪治ってよかったです！！お体には気を付けてくださいね！<(_ _)> (2021年8月13日 16時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 家族思いで本当は優しい渋くてカッコいい槇寿郎さん素敵！ (2021年8月13日 16時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花陰 桜 | 作成日時：2021年7月24日 18時
