【鬼滅の刃】煉獄さんの姉に転生したら悪女に文句を付けられた件について。

【参拾参】蝶と虹と炎と。 ページ42

カナエside

あぁ、もう駄目だわ私。

霞んでゆく意識の中、ぼんやりとそう思った。
息を吸う度に氷が刺さった肺が痛み、呼吸なんて以ての外だ。
…上弦、だったの。

頭に血を被ったような、不思議な鬼。

これほど強いなんて、思ってもみなかった。

……油断、したわね。
本当、情けないわね…。
これじゃあしのぶや花屋敷の子達に合わせる顔が無……いえ、もう帰ることすら出来ないわね。

カ｢っ、かは、｣

分かるのよ、命の終わりが近いって。

分かるのよ、私じゃ……この鬼に勝てないって。

けれど、そんなもの関係ない。
私は花柱、この命尽きようとも絶対に朝日まで粘ってみせる。
そう、意気込んだのだけど…思ったより弱くなっていたのね、私。

だって……見覚えのあるその羽織を見て、思わず叫んでしまったのよ。

『奥義 煉獄！！』

童｢おっと、｣

カ｢ッ、杏華ちゃん……！！｣

その子は、最近花屋敷繋がりで仲良くなった階級戊(つちのえ)の女の子だ。
煉獄家の長女で、無表情だけどとっても可愛らしい女の子よ。

と、それは置いといて……どうしてここにいるのかを問い詰めようとしたが、傷んだ肺では禄に声を出すことすらままならない。

カ｢ッ、にげ、て｣

『……逃げませんよ』

カ｢！｣

凛とした声が響く。

上弦を前にしているとは思えない程、一切の震えも動揺も見当たらない静かなる声色だった。

『大事な友達が目の前で死にそうになってて、ソレを無視する野郎が何処にいるってんですかって話ですよカナエさん』

カ｢……！｣




『さぁ、こっからは私が相手してやる。
是非とも地獄に堕ちて貰おうか』

□□□
童磨side

ふ〜ん、面白い子だなぁ…。

柱に満たず、尚且つ上弦を相手にしている筈なのに剣筋に迷いはない。
けれども、積極的に俺の頸を狙ってはこない。
あくまで時間稼ぎ。

……己に俺の頸は取れないと分かっているから？だから日の出まで持たせる為にそんなボロボロになってまぜ時間稼ぎを？

…はは、花柱の女の子も技が綺麗で面白かったけどこの子はもっと面白いなぁ。

今まで遭遇したどんな剣士とも違う。

……けれど、残念時間切れだ。

カ｢夜、明け…｣

童｢君、とっても面白いね！またいつか遊ぼうね！♪｣

『…っ、は、こっちはお断りだねぇ教祖さ、ま……(ｶﾞｸｯ)』

カ｢杏華、ちゃん！｣



無惨様にはきっと怒られてしまうけど……面白い子出会って俺は嬉しいなぁ。

願わくば、また会いたいなぁ。









地獄で燃えているような、あの獄炎の少女に。

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