【鬼滅の刃】煉獄さんの姉に転生したら悪女に文句を付けられた件について。

【弐拾】命の使い所とは如何程に。 ページ24

夢主side

錆兎の銀色に近い瞳が、大きく見開かれる。

……酷なことを言っているのは分かっている。
出来るならば救いたいと、私の我儘であることも分かっている。

けど、せめて、せめて……一瞬だけでもいいから、冨岡さんと共に肩を並べる錆兎の姿を一目見てみたかったんだ。
生存ルートは、私が自ら勝ち取ってやる。

指を二つ立て、錆兎の前に突き出す。

『君が生きる道は二つ。
一、鬼に敗北し刀も折られ、挙句女に助けられた臆病者として山を降りるか。

二、私と共に行動するか』

錆｢……二だけやけに短いな？｣

『当たり前だろう、私だって君に貸そうと思ってた予備の刀は誰かに盗られた』

錆｢盗ら……？！それ本当か？！｣

…なんか、うん、気付いたら無くなってたんだよね。
仕舞ってた懐に香水の匂いが付着してたから、大方誰かは予想がついてるけど。

『まぁ、今は私の刀の話はどうだっていい。

……さぁ、どうする？』

錆｢ッ…｣

言葉に詰まる錆兎。
明らかに迷っている雰囲気が見て取れる。
……なら、方向性を変えてみよう。

『…悔しいか？』

錆｢…は？｣

『女に助けられ、挙句刀も折られた感想は？』

錆｢ッ、悔しいよ…身が捻じきれんばかりに悔しい……！！｣

『なら、私を超えて見せろ』

錆｢───…！！｣

『強くなれ、私以上に。
だが私も、そう易々と強くなっていく錆兎を見過ごす気は無い。

……私と共に、強くなろう』

肩に手を置き、瞳をジッと見つめる。
微かに息を飲む音がした。
空いた手を差し出せば、それを強く握り締められた。

……と、そんな引き締まった雰囲気を崩すように遠くから悲鳴が聞こえてくる。

…え、あの少女私の刀盗っておいてまだ苦戦してんの？

錆兎の元に向かう時も思いっきり転んでたし…。

立ち上がり、一言も交わさず背中を合わせる。
間近に感じる体温が酷く愛おしい。
……これからは、共に競い合うライバルだ。
ぐ、と刀を強く握り直した。

『…南西の方向に二頭。
距離からして後10秒程で接敵するだろうね。

……抜かるなよ、戦友』

背後の錆兎が、皮肉げに鼻で笑う。

錆｢ハッ｣



『────舐めるなよ、戦友！！』


【虎視眈々と、鬼を狙う】

【虎の威を借る狐では無いと、今ここで証明してやる】

【いつかその余裕そうな顔を崩してやる】


【確かに小さな狐に闘志の炎は灯った】

伸びがえぐい…(本編じゃないですスイマセン！)→←【拾玖】救われた狐の子。

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