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「それは浮気だな!」
「だから付き合ってないです」
小見さんに言われ、というか木葉さんがペラペラ喋るせいで部内に広がってしまったため、散々浮気だのなんだの言われる羽目に。
「おっ、“寝言は無意識に心の中に残っていること”だそうだぞ」
「“寝言だけでどんな人かの判断は難しい”……ほうほう」
何故かノリノリで寝言について検索をかける先輩方。ちなみに本日の練習は終了し、合宿施設で就寝準備の途中である。一番うるさそうである木兎さんは主将として先生に呼ばれ退席中。
「浮気じゃねえならなんで隠すんだろうなー」
「赤葦にはバレたくない!とか?」
「その人も赤葦もどっちも好きだから……!とかか!?」
ぎゃはは、と騒がしいくらいに盛り上がる場に呆れることしか出来なかった。だが先輩たちの話も一理ある。俺に隠す必要があるのだろうか。恥ずかしさから隠しているような雰囲気ではなかったのだ。
「つーかさ、赤葦」
「はい?」
「お前、告りゃいーじゃん!!」
その言葉に、何度が瞬きを繰り返した。
告白、そうだ、俺は気持ちを伝えようとしていない。否、伝える気は無い。
「……告白、」
「えーあかーし告白すんのー!?」
俺の言葉に割って部屋に入ってきたのは、そのテンションだけでも誰かわかってしまう、木兎さんである。相変わらず声の大きいこと。
「Aに!?てかお前ら付き合ってないの!?」
「はあ、」
そのやりとりは何度目だろう。
俺はまあ良いとして、彼女からすれば迷惑だろうからやめてもらいたい。彼女にも、俺の知らない恋人がいるかもしれないというのだから。
「つか!はちみつレモン今日も美味かったな!!」
「あ、そうだよはちみつレモン!いつもAちゃん作ってくれんだからさあ、会って直接お礼言わせてくれよ赤葦ぃ!」
そう言って両手を合わせられた。彼女が部員と会ったことがあるのは数回。
ほんの少ししか会話もしていないので部員は彼女に会いたがっていた。
「……聞いておきます」
ウエーイ!と喜ぶ彼らは本当に練習後なのかというほどテンションが高く、騒がしい部屋はワイワイと盛り上がったまま。
俺は静かに部屋を出て、少し離れたところでスマホを開く。彼女とのLINEのトーク画面で電話のマークをそっと押した。
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あぁ(プロフ) - みないさん» ありがとうございます( ; _ ; )恐縮すぎて言葉が出ません(>_<)赤葦くんらしさを出しながら最後まで話を組み立てられたらな、と思っています。最後までお付き合いいただけると光栄です (2018年7月28日 21時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
みない(プロフ) - 久しぶりに占ツクを開いたら大好きなあぁさんの作品が出てて凄く嬉しいです。あぁさんの赤葦凄く好きです。続きとても楽しみにしています。更新頑張ってください!! (2018年7月28日 18時) (レス) id: 4024dcb8cc (このIDを非表示/違反報告)
あぁ(プロフ) - しおさん» ありがとうございます(>_<)作品に合った雰囲気で書ければな、と思っていますのでそう言っていただけて嬉しいです、どうか最後までよろしくお願い致します (2018年7月18日 23時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
しお - コメント失礼します。あぁさんのお話、どれも雰囲気溢れていてとても好きです。更新応援してます。そしてご自愛くださいね (2018年7月18日 21時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
あぁ(プロフ) - チャリアカーさん» ありがとうございます( ; _ ; )不定期更新となりますが最後までお付き合い頂けると嬉しいです、 (2018年7月17日 14時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
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