横恋慕【五条悟】

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「…嫌いになれたでしょ？」


熱くも虚しい余韻の残るベッドの上、どこか寂しそうな瞳でただ一言、そう問いかける悟にAは、小さく首を横に振って「…悟のこと、好きになれたら幸せなのにな、って、…思った」とまた溢れそうになる涙を瞬きでごまかす。


「傑としたこと全部、悟ともした。…それで余計に、悟が私のこと…本当に好きで、大切に思ってくれてるんだな、って…思い知った」


本当に泣きたいのは悟のほうなのに、それでも熱いものを止められないAは、声を震わせ瞬きを繰り返して、でも悟からは視線を逸らさずに真っ直ぐに見つめ続ける。


「…悟のこと、好きになりたいよ」
「…、」


Aの涙をじっと視線で追いかけた悟は、Aの言葉を理解するのにたっぷりと時間をかけたあと、「じゃあもう、遠慮しなくていいってことだね」と明るい笑みを浮かべる。


「え？」
「ここまでして嫌われないなら、…僕もう、我慢する必要ないってことだもん」


そう言って晴れやかな表情でAを見る悟の瞳は初めて見る色を浮かべていて、「…先に言っておくけど僕、傑と違って一度手に入れたものは絶対、手離さないから」と、恐ろしいくらいに綺麗に笑って見せた。

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