14 ページ15
・
「Aー、」
次の日の朝、悟の声に目覚めたAは、起きあがろうとしてズキズキと痛む頭に声にならない声をあげる。
「まだ寝てていいよ。今日は僕が全部、任務行くからさ」
「…いやいいよ。今日四件あるし…」
「いいよ、僕の任務も場所近いし。…報告書はお願いしたいけど」
「あー、…どのくらい溜まってるの?」
「…1ヶ月分」
なんでそんなに溜まってるんだと目線で訴えるAに苦笑いを返した悟は、「お土産に、ご当地お菓子一式買ってきてあげるね」とAの頭を撫でて「行ってきます」と部屋を出て行く。
*
次にAが目を覚ますと、テーブルに置かれた頭痛薬に悟の気遣いを感じ、任務のことも、Aが悟の気持ちに気付いていると知っていてそれでも何も起こらないこの状況も、Aは悟に対して不誠実であり続ける自分を責められているようで、辛くなる。
「…傑、」
もう私は、悟の匂いに包まれて起きるのも、悟に熱っぽい視線を向けられるのも、壊れ物を扱うように優しく触れられるのも。
…全部、当たり前のことになってしまったよ。
「会いたい…」
…もう、待つだけはつらいよ。
Aのその気持ちに呼応するように部屋に入り込んできた風が閉めきられていたカーテンを勢いよく揺らし、窓際に置いてあった傑も映る制服姿のAたちの写真を攫っていくように床に落として、なおも軽やかな音をたてて揺れ続けるカーテンが、待つだけ無駄だよという傑の答えのような気がして、まだ温かい布団に縋るように、Aはもう一度布団を頭から被りなおした。
173人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明珠(プロフ) - Mamiさん» ありがとうございます!良かったですー! (2022年6月3日 10時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» 全然面白いです! (2022年6月2日 16時) (レス) @page33 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» こちらこそありがとうございます!なんとか行けるところまでいってみましたが、どうでしょうか、、?違うものが始まりそうになって強制終了させてしまったので、物足りないかもしれません、、 (2022年6月2日 16時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
Mami(プロフ) - 明珠さん» レス返して頂きありがとうございます!例えば激しいキスとかはどうかなぁ…と思いまして…。そう言うのが嫌でしたら無理には言わないですが… (2022年5月31日 22時) (レス) @page31 id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
明珠(プロフ) - Mamiさん» はじめまして!コメントありがとうございます。読解力がなくて申し訳ないですが、具体的にイチャイチャ至る所、というのはどういうことでしょうか、、?? (2022年5月31日 12時) (レス) id: 64ad7b0890 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:明珠 | 作成日時:2022年4月30日 23時