未練タラタラやん、俺もやけど。【白膠木簓】 (ページ10)

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Title 10 ページ10

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出会いのキッカケは、大して

特別感があった訳じゃなかった

たまたま立ち寄った喫茶店の常連さんだった。ってだけ

職場が異動になって

その職場から1番近いのがそこの喫茶店だったから

私は毎週のようにその喫茶店に立ち寄った

毎回、私が行く度

彼は居て

珈琲や紅茶や美味しそうなドリンクが並ぶ喫茶店でも

必ず彼の前にはクリームソーダが置かれていた。

好物なのかな?

にしても毎日飲みすぎじゃないか??

彼に対して特別興味が湧いて

喫茶店へと足を運ぶ理由が

いつしか、名前も知らない彼になっていた。

話を交わすことも無く、通い始めてから2ヶ月は過ぎ

前振りもなく、突然彼と私の間で進展が起きた

「 ──── ハンカチ、これちゃいます?? 」

関西人独特のイントネーション

暖かいミルクティーを飲んで体を温めていた

外はすっかり乾燥して、寒くなった11月

いつも眺めていた彼の手には確かに私のハンカチが握られており

初めて、その目と合った。

いつも閉じていた瞳

ふと気になった

どんな色、してるんだろう。

綺麗な顔立ちなのは目が開かなくとも分かった。

「ぁ、ありがとうございます…… 」

小さくお礼をして

両手でハンカチを受け取ると

私に笑いかける。

胸が高鳴った

優しい笑顔に心を奪われた。

遠くで眺めてた貴方を知ってみたくなった

「ほな、俺行きますね」

「ぁ、まって」

彼が着ている派手目なスーツの裾を小さく摘んだ

これには彼は動きを止めて、私を見つめている

いざとなっては言葉が出てこないのは

こういうことか。

中々言葉を発さない私に痺れを切らし

彼が口を開いた

「ふはっ」

なんと、声を漏らして小さく笑ったのだ。

そんな彼の様子に私は目を丸くする

笑われた、

そう理解するのに時間はかからなくて

みるみる顔に熱を帯びるのが分かった。

はずかしい、はずかしい

なんて最悪な第一印象なんだろうか

何も考えずに言葉を掛けた自分に嫌気が差した

黙り込んだ私を見て、また口を開いたのは彼の方

「ごめんごめん。何か必死で可愛いなあ思て」

「ぇ、?? 」

「君のお名前、教えてや」

「あっ、笹部Aって言います…!! 」

「笹部、さん??
のわッ!!俺の名前と似とるやん
俺白膠木簓言います。よろしゅうね」

出会いは、偶然だった。

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