【暗殺教室】アネモネに包まれた少女。 (ページ6)

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四輪目ページ6

「当然でしょう。

国が殺れない私を君達が殺れるわけがない」

うーん…まぁそれもごもっともだけど慢心は大敵だよね。

なんて思いつつ、作り話を聞く感覚で黄色いタコの話に耳を傾ける。

「最新鋭の戦闘機に襲われた時も…逆に空中でワックスをかけてやりましたよ」

「「「「「「「「「(だから何で手入れする⁉)」」」」」」」」」

「その隙を、あわよくば君達に突いて欲しい」

あわよくば…って事は、他にもアテはあるのか……。

それとも、もう絶望しているのか。

「君達には無害で、こいつには効く弾とナイフを支給する。

君達の家族や友人には絶対に秘密だ。

とにかく時間がない。地球が消えれば逃げる場所など、どこにもない！」

烏間さんのその必死な声色に、私達は悟る。

やるしかない、殺るしかないんだ……と。

「そういう事です。

さぁ皆さん、残された一年を有意義に過ごしましょう！」

その日は始業式だった為、

それに…これだけの事を知った私達の頭をクールダウンする意味もあるのだろう。

すぐに帰された。

私は渋々帰る準備をし、帰ろうと立ち上がったその時だった。

バサバサバサ……という音と共に、茅野さんの教科書が落ちた様だ。

「…大丈夫？茅野さん。確か…最近、転校してきたんだよね」

私は落ちた教科書を拾いながら、ね？と、笑って聞く。

…実は私、喧嘩してつい昨日、謹慎処分が解けた所なのだ。

だから今、初めて話す。

「あ、有難う‼えーと…黒瀬さん‼」

パァアアアアっと笑ってそう言ってくれる、茅野さん。

天使…。

「いーえ。…はい‼もう落とさないようにね？」

私はじゃあまた明日、と、帰ろうとした…が。

「…あの、さ‼違ったら…ゴメンね？

黒瀬さんって…子役、やってた…？」

数秒の沈黙の後、私は何とか口を開いて答える。

私には…その数秒がとても長く感じられた。

「…なんのこと？ゴメン、人違いじゃないかな？」

私は“いつもの”演技の笑顔をニッコリとし、今度こそ教室を出る。

「(…もう、子役の私は世間じゃ死んでるんだ…)」

私はそう思うと、少し寂しくなった。

…茅野さんに冷たくしちゃったな。
後で謝っておこう。

私はそっと、スマホカバーにつけた古いクマのストラップを優しく手で包み込んだ。