第三十七話 em視点 ページ38
「何やってんねん、エミさん」
「いやほんますんません…」
相手の呆れたようなその物言いに、思わず身を縮こませる。
コウくんから情報を引き出すのが自分の役目だと言うのに、肝心のノートを回収し忘れると言うこのガバ。目論見道理に彼の言語を書いてくれて、またと無いチャンスだと内心拳を握っていたのに。
この様である。面目ない。
彼の居るであろう客室へ向かう途中で出会したコネシマさんは、少しため息を吐くと、「しゃあないな」と続けた。
「着いてったるわ。俺がそいつと話してる間、エミさんが回収したらええ。」
「いや、ちゃんとお願いしてね？」
「そう言って、すり替えられたらどないすんねん」
「や、まあ、そうやけど…」
心配し過ぎたちゃうかな、と思わず呟いた声を耳聡く拾ったコネシマさんは、なんや文句あるんか、とジロリとその空色の目を此方に向ける。
それに慌てて首を横に振って否定すると、「大体エミさんはなあ、」と長い彼のコネた説教が始まった。
あぁ懐かしいなぁこれ、とかなり久しぶりに聞くそれに遠い目をしながら曖昧に相槌を打つ。そうしながら並んで歩いていると、「あ」と不意にコネシマさんが声を上げて立ち止まる。
思わずえ？と溢してその視線の先を辿ると、件の彼がやたらガタイの良い兵士に絡まれているのが見えた。道を通せんぼされ、何やら問い詰められているように思える。
今朝“保護”について伝達した筈だが、どこかで漏れがあったのだろうか。
慌てて彼らに小走りで駆け寄り、此方を見て驚いた顔をした兵士に「何かあったんですか？」と尋ねた。
「は、エーミール様。いえ、見ない顔がうろついていたので声を掛けたんです。」
「一応それぞれに、“保護”について伝達した筈ですが…」
「保護？確か朝の……ぁっ、まさか彼が？！」
「…そういえば、写真とか一切見せとらんかったな。」
私の後にすぐ追い付いたコネシマさんが思い出したように言って、そう言われればそうだ、と今更気が付いた。
“保護”について幹部へきちんと連絡されたのが今朝のこと。そのまま朝の号令の時点で各々の隊や班に伝える様に指示されていたが、その全てが口頭だ。
監視カメラの映像はあってもちゃんとした写真は撮っていないし、容姿について言及していないところがあっても可笑しくは無い。
ロボロさんの班は兎も角。
大まかな事情を察したらしい兵士の彼は青くなり、冷や汗を流していた。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
