第二十話 zm視点 ページ21
遅れてありついた夕食を頬張りながら、説教されてへとへとの頭で先程の出来事を反芻する。
今日、ロボロが発見して、トントンが連れてきた子供。子供というには些か大きいが、明らか自分達の半分も生きていない様な少年だった。
煉瓦色の長い前髪と横髪、それから丸い大きい眼鏡。細い目に気弱そうな顔。ちょっと脅かすつもりでわざと物音を立てたら、ロボットみたいな動きで丸椅子を用意しているのは結構面白かった。
その後もビクビク小動物みたいに震えているし。不審者は彼方だというのに、何だかこっちが悪いことをしている様な気になって、思わず毒気を抜かれた。
警報を鳴らさずにバリアを突破したと聞いたのに。期待はずれというか、拍子抜けだった。
「ぞ、ゾムさん?今日なんか静かですね…?」
「お、チーノ。なんやまだ喋れる余裕があるんか?」
「いえマジで限界です勘弁してくださいもう結構です」
冗談だと笑うと、あっちはあからさまにホッとしたように肩から力を抜いた。無言で炒飯を追加してやると情けない悲鳴を上げたので、それでやっと溜飲が降りる。
「んー、なんかなあ、引っかかるんよな。今日の不審者」
「不審者…?えっと、うぷ、スミマセン。……トントンさんが連れてきたってひとですよね?」
「そうそう」
俺と訓練をしていて、同じく夕食が遅くなったチーノ。コップの中の水を飲み干すとやっと一息ついたらしく、若干苦しそうにしつつ喋っていた。
「なんかなあ…こう…気配がな?ちゃうなあって」
「部長みたいなこと言わんといてください。ちゃうって、何がです?」
「えっとな…何て言えばええんやろなあ」
こう、アイツ見てると、ぞわぞわすんねん。
あの非力そうな存在を見ている時に感じる、形容し難い悪寒。つい捕まえてしまった時はあまりそう感じなかったが、黙っているのを見ていたら、なんだか得体の知れない生き物が静止している様に思えたのだ。
そのせいか、夜中に行くつもりだったのについ気が急いた。
見た目は明らか人間なのにおかしな話だが、そう言うしかない。そこにいるだけで、本能のが警鐘を鳴らす程の異物感がある。
いつか読んだ本の一節を借りるなら、〈人の皮を被った化け物〉、のような。
「ふーん…」
「興味なさそうにすんなや」
「いやだって、俺直接会ったことないですもん」
どんなのか知りませんしと続ける後輩に取り分け用のスプーンをちらつかせたら、止めて下さいと懇願された。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います!多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン?なの初めて見ました!めちゃくちゃおもろいです!応援しとります!頑張ってください! (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノ | 作成日時:2022年9月14日 1時