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第十七話 ページ18

『…なんもせえへん。出て来ぃや』
「……」
『出てこいったら』
「…………」
『おーい。……無視か?ええ度胸やん』


 何言ってるのかわかんないし雰囲気がもう怖い。ガタイがいいからなのだろうか、見るからに“只者じゃありません”っていう雰囲気を纏っているからだろうか。
 その空気も階段のところで見た時より和らいでいる気がするけど、残念ながら僕はこの狭暗い場所から動ける気がしない。
 臆病だと友達にもさんざ揶揄われるけど、僕としては臆病で良いと思ってる。少なくとも、この状況下では。


『はー……トントンに怒られるわ、これ」
「……」
『なぁー、わる、悪かったって。怖がらせたんやろ?』


 緑の人はずっと何かを喋っていて、なんなら床に半分転がるみたいな姿勢でずっと僕と視線を合わせている。


『なーぁー』
「……」
『……』
「…………」
『……うーし』


 緑の人は、やがて何かを呟くと部屋から出ていった。
 体格に見合わず意外に小さな足音が消え、しん、と部屋に静寂が戻る。

「……も、もう行った…?」

 小さく呟いてみるが、それに反応する声はない。
 音も何も聞こえなくなって、ずり、とベッドの下から恐る恐る這い出る。
 1番先に出した手先の指をカーペットに突き立て、よいしょ、とベッド下から這って出た。


『つ、かまえた!』
「!!!???」


 全身を出してしゃがんだまま一息ついていたら、急に両脇に手が差し込まれ、ぶらんと体が浮いて何が何だか分からなくなる。
 吃驚して思わず目をぎゅっと閉じていると、ぼすん、と尻餅をついたみたいな衝撃が体に走った。
 それから、あったかくて、それでいてなんだか妙に固い…?やわらかい…?両方を足して2で割ったみたいな感覚に包まれる。同時に、何だか可笑しそうなクスクス笑いも聞こえる。

 暫く目を閉じたままだったが、それ以上は何も起こらず、そろそろと目を開いた。


『な、なぁ、ちょっとお話ししようや!』
「……」


 ぽかん、と目と口を見開いて相手の顔を見上げる。
 僕は、端的に言えば、緑の人に後ろからハグされていた。…ハグというか、どう見ても両腕で捕獲されていた。

 やっと状況が呑み込めて暴れ出そうとしても、びくともしない。一般の学生じゃ、明らか鍛えている相手には敵わないらしい。当たり前かもだけど。


『あ、あば、暴れんなって!』
「離して!!離してください!!」


 大声を出してじたばたして、僕は抜け出そうと必死になった。

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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います!多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン?なの初めて見ました!めちゃくちゃおもろいです!応援しとります!頑張ってください! (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノ | 作成日時:2022年9月14日 1時

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