第十八話 ページ19
『もー、全然大人しくならんやんコイツ！』
更にがっちり拘束されて、でも僕はまだ逃げ出そうと躍起になっていた。
人を傷付ける度胸なんてないから、弱々しく引っ掻いたり、懇願したりして抜け出そうとする。でも全く離してくれない。だんだん僕の擬態も緩くなってきて、目が、増えて、
『こらゾム！！何してんねん！！』
『げっ、トントン！』
ばんっ、とドアが勢いよく開いてとんとんさんが焦り顔で現れる。
緑の人を見つけるなり、怒った様な呆れた様な顔になって、つかつかとこちらへ寄ってきた。ガタイがいいから威圧感も凄くて、思わず視線をやられていない僕も身を縮こませる。
『客室行ったらあかんっていうたやろ！ほんまにもう…』
『ご…ごめん、トントン。つい気になったんや…』
『……、…それについては後で説教や。取り敢えずほら、ビビっとるソイツ離したれ』
『おん…』
何回か2人が言葉を交わした後、ふっと腕の拘束が解ける。
慌てて身を乗り出したもんだからバランスを崩し、べしゃ！と床に墜落した。
呆気に取られたような沈黙が痛い。…僕ってば本当鈍臭い…
『……んふっ』
『お、おい大丈夫かコウ…フ、すまんつられて笑ってもうた』
身体を起こして鼻を擦っていると、とんとんさんが腕を取って立ち上がるのを助けてくれた。
ありがとう、と言いながら、くしくしと顔を擦って痛みを紛らわそうとする。ついでに擬態も直そうとしていると、また2人の話し声が聞こえた。
『ゾム、まだ正式な決定とちゃうけど、コイツは“保護”することにしたんや。やから、手荒な真似はあかんで』
『ん、わ、わかった。』
『ホンマにわかっとるんやろうな？』
『わかってるわかってるって！』
『じゃあな』、と頭に軽く手が乗せられる。
吃驚して顔を上げると、緑の人がひらりと手を振ってダクトに入っていくのが見えた。
『…いや、ドアから行けや』
「？」
『あぁいや、何でもない。すまんなうちのが。アイツ、悪い奴やないんやけど…ちょっとぴりぴりしとってな。許したってくれや。それより大丈夫か？怪我とかしとらんか』
とんとんさんの大きな両手が僕の顔に触れる。よく分からないけれど、表情を見るに心配してくれているらしい。床に落ちた時のやつかな。
大丈夫！と言う意味を込めにっと笑顔を作ってみせると、ちょっと目を丸くした後に相手も笑った。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
