第十四話 tn視点 ページ15
「すまん、遅なった」
「おう遅いでトントン！もうみんな食っとるぞ！！」
食堂に入った途端、聞き慣れた大声が鼓膜をつんざいた。
うるさいのう、と目を眇めれば、今度は愉快そうな笑い声が響く。
「なんや例の不審者か？コウー、やっけ？」
「もう話回っとるんか」
「せやで、エミさんからも話聞いとる」
いつもの定位置に座り、用意されていた皿に長テーブルに置かれた大皿から料理を盛り始めた。
メニューは毎度同じと言うわけではないが、大食漢が数人いる組織の為、取り分ける形式の大皿の上には山盛りに食事が乗っている。もう見慣れたが、見る度に何処ぞのフードファイターやねん、と突っ込みたくなるのは変わらない。
炒飯を口に入れていると、「で、どうなんや？」と先程から声のボリュームが変わらないコネシマが絡み続けてきた。
「どうもこうもないわ、言葉は通じひんしパスポートもなし。スマホはあったけど中身は見たことないアプリばっかや」
「それ回収したん？」
「一応な。でも多分何も得られへんで」
「なんやウチの班のこと舐めとんのか？」
と、今度はロボロが首を突っ込んでくる。和服の袖を捲り、周りより細っこい手で食事をしていたが、その目の前の皿に盛られた量は人並み以上。正直見てるだけで腹一杯になりそうな気さえする。
情報収集と暗号解析をメインの仕事としている班の隊長は、「まあ確かに今んとこ何も分からんけど、」とやや不満そうに零した。
「ロックがかかってない写真フォルダとかもあったけど、ウチのもんにやらせても今んとこ該当する景色も街もない。いっそ架空の街って言われた方が納得できるわ」
「でもホンモノなんやろ？」
「…おう。色を調節する加工とかはされとったけど、それを外すにも一苦労や。なんせプログラム自体未知の言語やからな」
なんなんやあれ、とぎゅっと藏面の『天』の字の真ん中あたりに皺が寄る。装着している本人の表情と連動する様になってるそれは、ロボロが今いかに苦々しい表情をしているのかありありと伝えてくれた。
未知の言語か、と頭の中で反芻しながらよく焼かれた鶏肉を噛む。うん、美味い。うちのシェフやっぱ優秀やわ。
「連れてきてから、確か2時間以上やろ？そんだけかけて加工外すだけってどないなっとんですかね」
「煽るなやショッピ！」
苛立ちを乗せた声、まあまあと宥める第三者の声。中々に騒がしいが、これが我々の日常だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
