第三十五話 ページ36
そう言ったやりとりを何度かしていたら、不意に足音が聞こえて顔を上げる。
『？どうしたの…』
『ちわーす。エミさんいます？』
『あ、ショッピくん』
図書館のドアが開き、全体的に紫っぽい人が現れた。
しょっぴ、くん？さん？と呼ばれたその人は、何処となく気怠そうな表情のままちらりと此方を一瞥して、またえーみーるさんに向き直る。
『この子があのコウって子っすか』
『うん、そう。コウくん、こちらショッピくん。ウチの…あ、これ言わんほうがええか。』
『まぁ…どっちでもええんやないですかね』
『初めまして、ショッピです。』と、しょっぴくんさん、しょっぴさん？は此方に視線を向けながら気怠そうに会釈をする。
コウです、と此方もぺこりと頭を下げて、それから元の姿勢に戻ると2人はもう何かしら話し込んでいた。
正直十割方何を言っているのかはわからないけれど、「とんとん」さんの名前が時折出てきている。
会話に入れずぽけっとしていたら、やがてしょっぴくんさんは本棚の向こうへ消えていった。
その背中を見送ってから、はっと思いついてノートに習ったばかりの文字を書き始める。
えーみーるさんの不思議そうな視線を受けながら、ああでもないこうでもないと発音を口の中で確かめて、やがて完成した文字たちをえーみーるさんに見せた。
『しおぴ、…う？……あ、なるほど。まだ小さい字教えてなかったもんな。』
「あれ？」
どうやら違った様だ。自信満々に見せただけにとても恥ずかしい。
“しおぴうん”の“お”の文字に赤色でバッテンが入り、上に正しい文字が書き出される。その隣には下向きの矢印？のようなものが書かれ、その上に“つ”が入った。なんだかどちらも小さい気がする。
最後に“う”の字が“く”に直されて、更に僕が書いた字の下に赤く正しい文字列が並べられた。
“しょっぴくん”
『じゃあ、今度は小さい文字に行こうか。因みにシャオロンさんの字はこうやで』
“しゃおろん”
「しゃぉ、しゃおろん」
『そう、カタカナだと____』
さらさらと、一通り名前が書かれていく。これまで此処で会った人達の名前は、意味さえわからなくても、僕に初めて「理解ができる」という安心感を与えてくれた。
名前に込められた意味は、後々知ればいい。
今はもっともっと、知識を、非力な僕に力をつけなきゃ。
…もし何かの理由で此処を追い出される事になっても、生きていける様に。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
