七粒 ページ7
「……とぅるるっるる〜」
意味不明な歌を口ずさみながら、ディアナはスキップをする。ポケットに手を突っ込んで、履き慣らした白いサンダルで大きな道路の真ん中を歩いていた。
彼女は今、イースト・シティでも特に栄えた地域、レイバンにいる。高級マンションが立ち並ぶ栄えた町。ディアナは今日、先日の男から依頼された暗殺の仕事を行なっていた。
「てれてれてっ……どぅーん」
レイバンで一番高いマンションの、27階。そこの主人をどのような方法でも良いから殺すこと。そして重要な文書を取ってくるのだ。
さて、マンションを見つけたディアナは、表情一つ変えずに一階のベランダへと侵入した。片手をポケットから出して、ベランダの扉に触れた。
「ぶよーじんだなぁ。私みたいな悪い子に入られちゃうよ」
なんちって。そう呟いてディアナは扉を開ける。サンダルを律儀に脱いで、室内へと入った。ペタペタと室内を歩いて、彼女は玄関を開けた。またサンダルを履いて廊下へと出る。そして、__消えた。
いや、『消えた』という言い方はあまりにも不適切だろう。なぜなら彼女は単純に、少しだけ走っただけなのだから。
ディアナはもとより「普通」の子供ではなかった。幼い頃か両親に、両親が姿を消した後には今の師匠であるロゼリアが彼女を鍛えていた。それも、物心のつく前から。
ただ、彼女が僅か12歳でここまでの成長をしているのは、その資質が大きく影響してただろう。
「てりゅて ててて」
相変わらずめちゃくちゃな音楽を口ずさみながら、彼女は走る。なによりも早く店に帰って、思いっきりロゼリアに甘やかしてもらいたかったのだ。
そして27階に到着したのは、僅か3分後であった。それだというのに、彼女は汗どころか息切れすらしていない。それに合わせて、相変わらずポケットに手を突っ込んでいた。
「このフロア4個しか部屋ないじゃん。え、じゃあめっちゃ広いじゃん。いいなぁ」
地下まで存在する家を持っているディアナは呟く。彼女は目当ての部屋にまで歩いて、とってへと手をかけた。
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作者名:お好み焼き屋 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年12月11日 23時