1話 ページ4
鳩が湿った地面から飛び立つ音が聞こえる。
空から降っためぐみは、地面に溜まり、世界を反転して映した。
石畳の隙間に流れる水が、足元に届く。
ブーツの先でそれを止める。
空を見上げると雲が全く浮かんでいない。
私は水溜まりに映る自分の影越しに、もう何度目かも分からない身体を撫でた。
ああ、いくつか前の身体でも、同じようにした。
時間が経てば、時期にこの記憶も失い、「私」という存在だけを認識する。
とっくに消えた自分の身体のシュミレート、すなわち模造。
そんなものでこの地に立っていて、果たして人間だと言えるのか。
そんなことを考える気力も、とうの昔に消えた。
A「アルベド……私を殺して。」
彼は、天才だ。
特に錬金術においては歴史に名を刻むほどの。
彼は、錬金術で何度も私を造る。
「命を創造する。」
それが彼、アルベドの錬金術。
A「ウェンティ。」
ウェンティ「まだ生きてたんだね。いや、もう500年前に死んでいるの？」
A「肉体の死は、その人自身の死とはならない。彼が私を造り続ける限り、私は死なない。」
ウェンティ「その身体は巧妙に造られている。ああ、彼自身が造られたから？」
A「あなたは一体どこまで知っているの……。」
ウェンティ「風は全てを知っているからね。」
アルベド「時に、知らなくていい事象が起こった場合は？」
A「アルベド。」
ウェンティ「それは何に対して？」
アルベド「A何故逃げるのかい。キミはとっくに諦めているだろう。」
ウェンティ「話をそらさないでほしいな、アルベド。」
A「逃げてなんかいない。ただ、ウェンティに、何回目かを聞きたくて。」
ウェンティ「……はぁ。教えたところで無駄だ。だって、君はいつもこのタイミングで、……」
A「アルベド？それと……ウェンティ！久しぶりね！」
アルベド「キミは今まで何をしていたか覚えているかい？」
A「分からない……いつもそうなの。」
アルベド「さあ、家に帰ろう。クレーが待っている。」
ウェンティ「A、風神のご加護があらんことを。」
A「ウェンティ……？どうしたの、あなたらしくない。」
ウェンティ「それと、一つ。アルベド、君の能力はあまりにも危ない。」
アルベド「その忠告、胸に刻んでおくよ。」
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芋煮(プロフ) - mさん» ふぁっ！？コメント気づかなくてすみません😭ありがとうございます！透明感ある感じを目指したかったので嬉しいです笑 (6月21日 7時) (
レス) id: 59221f80a5 (このIDを非表示/違反報告)
m - 度々コメントすみません。二箇所ほど誤字衍字があると思いますが、笑って許してやってください…。長々と読みにくいコメント、失礼しました。 (6月11日 23時) (レス) @page10 id: 12017230f1 (このIDを非表示/違反報告)
m - コメントコメント失礼します。とっくに完結されていますが、完結おめでとうございます。最後まで、素晴らしく綺麗なお話でした！死ネタ切ない感じが凄く大好きなので、この作品に出会えたこと嬉しく思います。お疲れ様でした。 (6月11日 23時) (レス) @page10 id: 12017230f1 (このIDを非表示/違反報告)
芋煮(プロフ) - 1000hitありがとうございます！良ければコメント下さると作者が喜びます。 (5月14日 16時) (レス) id: 59221f80a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋煮 | 作成日時：2023年4月12日 0時
