聖天様 ページ14
・
｢…ねえ、オヌスミサマ、いるんでしょ？｣
ヒコ｢なにやってんだA。戻るぞ｣
｢ヒコくんだけ戻ってて｣
ヒコ｢おいおい…｣
呆れた様子のヒコくん。
だけど、少しでも望みがあるのなら、私はここを離れる訳にはいかない。
…私が、晶大を救わなきゃ。
そのとき、ふっと力が抜けるのがわかった。
意識が遠のく。
ヒコくんが私を呼ぶ声が聞こえて、意識が途切れる。
でも不思議なことに、次に目を覚ましたときは、まだオヌスミサマの祠の前にいた。
ヒコくんはいない。
私はまだ浴衣だし、手のひらには晶大の血がついたままだ。
だけど、
｢…え、なんで、｣
祠の前にはみかんがあったはずだ。
それが今、なくなっている。
どこを探してもやっぱりなくて、なんでだろって考えていると、｢おい小娘｣って言う低くて地を這うような声が聞こえた。
思わず振り返る。
だけどそこには誰もいない。
するとまた、｢こっちだ｣って言うあの声が聞こえてきた。
恐る恐る、振り向く。
オヌスミサマの祠の上に、黒くて少しボロボロの着物を来た男が座っていた。
片手にはみかん。
背中にはカラスのような黒い翼。
｢え、あ、…あなたが、オヌスミサマ？｣
聖｢…その名前はいけすかん。我は大聖歓喜天、聖天様と呼ぶが良い｣
｢しょうでんさま…｣
聖｢して、今度は何の用だ｣
｢今度？｣
聖｢ほら、この蜜柑。我がついこの間願いを聞き届けた物が置いていったのだ。実に美味である｣
｢じ、じゃあ、本当に、願いを叶えてくれるって｣
聖｢ああ。但し、我は運命を変えることしかしてやれんがの｣
聖天様…。
どこかで聞いたことがある。
どんな願いでもひとつだけ叶えてくれる神様。
…の、はずなんだけど。
運命を変えることしかできない？
どういうこと。
聖｢…余計な詮索はするな小娘。貴様が我を呼び出したのであろう｣
｢あ、私が、？｣
聖｢左様。我は、心から信じる者の前にしか姿を現さん｣
して、願いはなんだ。
そう言ってこちらに視線を向ける。
黒くて長い前髪の隙間から、睨みつけるような鋭い目。
赤い目をしている。
存在感のない青白い肌の色が、その赤い目を余計に際立たせてて、ゾクッとする。
…本当に、実在したんだ。
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(名前)あやか(プロフ) - 続きを待ってます！お願いします (2021年9月18日 15時) (
レス) id: 6c19d02f23 (このIDを非表示/違反報告)
ぷいん - いつか更新されることを願ってます…！ (2020年12月12日 10時) (レス) id: fe96328630 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 00xxxx1さん» 本当ですか！！！！嬉しい、ありがとうございます！！ 更新頑張ります！！！！ (2020年5月20日 0時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
00xxxx1(プロフ) - 毎日更新楽しみにしています！！花さんの書くお話の中でもこれが一番好きになりそうです！！陰ながら応援しています！ (2020年5月20日 0時) (レス) id: 1f1bcc4b1b (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - ゴンさん» えぇ！？そんなそんな！！！ありがとうございます！！更新頑張ります！！ゴンさんのためにー！！！！ (2020年5月16日 17時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花
| 作成日時：2020年5月11日 10時
