【芥川龍之介】語彙力のない私が文豪世界へトリップした【文スト】

３４話 ページ36

フラフラ、と海岸に上がる。


悲鳴、怒号、混乱、焦燥、そして 絶望。

船のなかはたちまちパニックとなった。


ギルドのメンバーはきっと全員助かっていると、思う。


アンの部屋、とかもあるし。

けど、無関係な人たちは、船と一緒に全員の浮力も奪ってしまったようで誰一人として浮き上がる者はいなかった。

一人、砂浜に座り込めば涙が溢れる。


こんなつもりじゃなかった。


こんなことのために、異能力はあるんじゃない。

身勝手な私の思いで何百人という人が犠牲になった。


「素晴らしい。見ていたよ、昔の太宰くんを思い出すねぇ、その冷酷さ。まさか自分が助かるために船ごと乗客を沈めるとは。まさにマフィアに相応しいよ」

嫌みっぽく首領はあえて言った。

_______行かなきゃよかった。




どうして、行ってしまったんだろうか。


解らない。



鏡花ちゃんが35人殺しなら私はマフィアに入った当日に数百人殺したわよ……






今も、乗客の声が耳から離れない。



こんな苦しい重みを飲み込んで、みんな生きてるの……？


ねぇ……、どうして、こんなに苦しいのに、息ができてるの……？

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