【芥川龍之介】語彙力のない私が文豪世界へトリップした【文スト】

１８話 ページ20

「とりあえずAは一番上まで上りきれ！」

どんっと背中を押され、そう言われる。

「上りきっても、逃げられないよ！」

むしろこれ以上高いところに行くのは危険なんじゃ……

「僕はこの場から黒獣で応戦する」

「じゃあ、私も残る」

「…………邪魔なだけだ、さっさと離れていろ」

「…………」

確かに、私がいたってなにができるわけでもない。

異能力だって、いきなり発動したりしない。


「なにをしている、早く行け！」

「っ…………絶対、絶対追い付いてよ」

「ふん、僕があいつらごときに負けるわけがない」

でも、でも……

「あのラヴクラフトさんは中也さんと太宰さんが組んだ状態でも互角の力だったんだよ！中也さんが汚濁まで使ったんだから！」

「…………なんだと？“汚濁”見たことはないが、聞いたことはある。……ますます面白い。太宰さんを翻弄した力に僕が勝てば、太宰さんは僕を」

認めてくれる。

そう続けようとした口を抑えられる。

「っ」

「バカなこと言わないで！……太宰さん、太宰さんって…………太宰さんが、貴方にとってかけがえのない人なのは解る。けど、それで貴方に何かあったら、私は嫌だから！マフィアを困らせるくらい泣いて、泣いて、それで……っ運命を恨んでやるから！」

「何故僕に、そこまで言う？」

不思議そうに彼は言う。

そんなの

「貴方に生きてほしいから、貴方と、一緒に生きたいから」

だから、私は独りで残したくない。


一緒に戦って、生きたいから。

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