【短編集】その口付けで有名にして

喪失 outside ページ4

うーん、と作者は唸る。
もしかして自分の作品が伸びないのはその文才と独創性の無さからでは無かろうか。
あるいはストーリーが単純に面白くないだけか。どんな作品を相手が望んでいるのかか全くこれっぽっちも分からない。

自分の性癖に刺さるものを書いて、それがたまたま大衆の心を射止めてくれれば良いのだが、そうもいかないのがこのサイトである。

なにか参考になるものはないか、と書き途中のそれを1度保存して、トップページから新着作品を開く。キーワードに「オリジナル」を、ジャンルに「小説」を入力して更新すると、ズラリと目を引くタイトルが並んだ。

二次創作がチラホラ混ざっているのが癪だったが、新しい作品を探すのはまさに宝探しのようで、彼はこの時間が好きだった。自分の作品名が並んでいるのを見てドキドキしたり、思いがけず面白い作品に出会えるのが楽しみで仕方がなかった。

色々と読んでわかったことがある。
己の作品紹介欄にはなんと書いてある？ 自己紹介と注意書きのみ！ これでは誰も興味を持ってくれなくて当然ではないか。簡単な作品紹介でもしよう。せめて、どちらがネコでタチなのかくらい書こう……と彼は心に決めた。

次に書くタイトルは特に決めていなかった。しばらくお休みかなぁ……と考える。そしてハッと思い浮かんだ。ここはあえてマイナーなカップル選択をしても良いのではないかと。
はて、マイナーカップルって例えばどんな組み合わせだ？ と首を傾げつつ、彼は相変わらず見切り発車をするのだった。

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