さぁ偽りの忠誠を ページ11
この家族は酷く歪だ。
親の会社と財産を継いだ父は仕事でほとんど家に居らず、その寂しさを埋めるためなのか男と逢瀬を重ねる母。その環境下で育った少年は執事の私に酷く冷たい。
きっと、怒りだとか呆れだとかいう感情を持て余しているんだろう。
お茶を用意しろ、ぬるい、構うな……、
そんなことを言われるのは日常茶飯事で、ひどい時には入れたお茶をかけられたりカップが飛んできたりする。
おかげで私は生傷が絶えなかった。
それでも私がこの家に仕えるのは、この少年が苦しむ様を近くで見ていたいからだ。
人の不幸は蜜の味、とはよく言ったもので、私も他人の不幸に飢えていた。この家族が崩壊するのと同時に、彼が壊れていくところを見ていたい。ただそれだけの単純な理由。
いつも通り、少年のところへお茶を運ぶ。
控えめにノックをして扉を開けると、部屋には灯がついておらず薄暗かった。レースのカーテンが優しく陽の光を遮っていて幻想的だ。
そのだだっ広い部屋の中で少年は泣いていた。海色の瞳が潤んで、見られたという動揺に揺れる。
それは私が初めて見る少年の姿だった。
それはいつも強気な少年の、酷く加虐心を煽る表情だった。
あぁ、もっとその表情を見せてくれと振りほどきたくなるような感情がせり上がる。口角が上がりそうなのを我慢して、あくまで優しい声で心配する……、ふりをした。
やめろ見るな近づくな、あっちへ行けなどという言葉を全部無視してその細く小さな体を抱きしめてやれば、案外すんなりと自身の気持ちを吐露する。
「愛して」
「1人にしないで」
「寂しい」
不安そうに、縋るように。
私は優しそうな表情で笑いかけて、彼の足下に跪く。ベッドのふちに腰掛けた彼の足を取ると、その爪先におもむろに口付けをした。
頭上から驚きの声が聞こえる。何度も唇を落としてやれば、くすぐったいのかその体が震えるのがわかった。
顔を上げて、少年と目を合わせる。
「知っていますか？ つま先へのキスは忠誠を誓うという意味があるんです。」
だからなんだと言いたげな彼に向かって、私はこう続けた。
「私はあなたに忠誠を誓ったことになるので、あなたを決して1人にはさせません。」
そう言えば、彼は本当に？ と不安げに聞いて、それから嬉しそうに笑った。
あぁいつか、あなたが私を信用して頼りきった時にその表情が真逆になるのが酷く楽しみです。
さぁ偽りの忠誠を outside→←負け犬のように吠える outside
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» じゃあ！いつも厳しい上司にいやけがさして！誰もいない時呼び出して襲っちゃう話ください！ (2019年8月27日 11時) (
レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - 闇鍋ソースさん» 楽しんでいただけて良かったです、リクエストありがとうございました。リクエストに上限はないのでいくらでも言ってくださればかけるものについては書きますよｳﾍﾍ (2019年8月27日 9時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - ギャァァァァ（尊すぎて爆発）しゅ、しゅき……パナイゼ……まだリクエストしたい…しかしそれではナイフさんの書きたいものかけなくなっちゃうよう……グワァァァ（葛藤） (2019年8月25日 22時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - ツンデレな強がりヘタレ悪役を純情天使なヒーローがテクでひんひんいわせる話下さい←なにこの変態 (2019年8月21日 21時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - ここりどらすさん» コメントありがとうございます。性癖に刺さっていただけて嬉しいです。色々なシチュをまだまだ書いていく予定なので良ければこれからもお付き合いください。ありがとうございます。 (2019年8月21日 10時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナイフ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mesemoaLOVE/
作成日時：2019年8月19日 11時
