双子。【煉獄杏寿郎】

壱 ページ16

自宅に帰ると今日も杏寿郎は玄関先で待ち構えていた。



杏｢無事でよかった！｣



貴『…』



ひねくれてるなんてわかってる。けど、誰にでも優しくできる杏寿郎が、羨ましかった。




杏｢竈門炭治郎はどうだったか？｣



貴『普通。』



杏｢なかなか面白い少年だろう！｣



貴『うん。』




また杏寿郎はAの後ろに付いてきて、部屋まで入ってきた。




貴『もういいでしょ。早くあっち行ってよ。』



杏｢たまには兄妹で和気あいあいとするのも良いだろう！｣



貴『私はあんたなんかいたら落ち着かないの！！どっか行ってよ！！』





少し、言い過ぎた。





けど私はまたこれでいいんだと心に言い聞かせた。





杏｢Aはいつも苦しそうだな




もう少し気楽にしてみないか？｣





笑顔を崩さないままだが、杏寿郎は心配している様子だった。


その笑顔に、怒りが込み上げてくる。




貴『気軽に生きる…？あんたが居るせいで私はいつも苦しいんだよ！！




比べられて、陰口言われて。




あんたはみんなに尊敬されて、信頼される。




私なんか、




何も出来ない癖に態度だけは冷たくて




弱いくせに、人に優しくすることも出来ない。





あんたとは比べ物にならないクズなんだよ！！






私なんて、あんたの兄妹になる資格もない。






生まれて来なければよかったんだ』





初めて杏寿郎に本音を言った。




いつも心の中で叫んでいた事が遂に言葉になって杏寿郎に投げかけた。

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