扱いに注意 ページ10
「たしかに私は罪人ですし、普通にこのようなお店で働いてはいけないかもしれません。ですが…店長はそんなボロボロになっていた私を助けてくれました。今度は私が恩返しをしないと」
そう言い終わると、私は未だにお皿を洗い続ける店長の方をちらりと見た
自分でも思うが私は感情をあまり表に出さない
しかし今日はいつも以上に表情筋が動かない
暫し沈黙が続いた
相変わらず感情の読み取れない顔だ
「そうか。まあ断られるだろうとは思っていたけど、そんな事情があったとはね」
太宰さんは残っていた珈琲を全て飲み干し、立ち上がった
帰るのだろうか
「さてと、私は帰るとするよ。用も済んだし、そろそろ同僚の怒りが爆発する頃だからね」
壁にかかった時計を見てそう言った
「店長。今日も美味しかったよ、ありがとう」
「あれ?もう帰るのかい?今日は早いね」
「私も一応最低限の仕事はしておかないと、クビを切られてしまうからね」
「そうかい。見送るよ」
店長は洗い物の手を止めて、私と一緒に出入り口に向かった
太宰さんが扉を開けた瞬間、太陽の光が勢いよく差し込んできたせいで咄嗟に手で顔を覆った
「仕事に困ったらいつでも探偵社に来るといい。其の時は社員全員で歓迎するよ。ああ、それと一つ。助言というか忠告をしておくと
今のAちゃんでは絶対に異能を制御できないよ」
背筋が凍った
彼は一体どんな顔をして言ったのだろうか
眩しい光のせいで分からなかったが、そこにはもう誰もいないだろう
「やだねえ、近頃の若い子は店の子を平気で誘惑して。Aは私と一緒についてきてくれるだろう?」
太宰さんの、あの一言のせいで呆然とした私を見て
店長は無言で、扉を勢いよくバタンと閉めた
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カカオ(プロフ) - Seaさん» 褒めてもらってすごく嬉しいです!カトレアは花のほうですよw醤油…考えたこともありませんでしたw (2018年2月16日 23時) (レス) id: fdcd433a9e (このIDを非表示/違反報告)
Sea - めっちゃ面白いです!続きが気になる…!あと作品と関係ないですがカトレアさんのカトレアってあの醤油のカトレアですか?← (2018年2月16日 21時) (レス) id: c676ee4e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カトレア | 作成日時:2018年1月14日 21時