87話_ ページ43
「おまえ背丈があるからって調子に乗るなよ…!」
「え!?乗ってないだろ」
「主、遅いんですよ。何もかもが」
怒鳴られキョトンとするミツヒデと笑いで声を震わせるオビ、わなわなと震えるゼン。
「3人ともカップの中お酒なんですかね」
「子供はお酒飲めないでしょ、白雪」
「「子供!?」」
そんな3人は自分達をみる女性2人の言葉に声を上げるのだった。
そうこうしてれば、ゆっくりと楽しげなお昼の時間は過ぎていく。
ぶらりと街を歩く。
「あ、剣の試合やってる」
木々が見つけた張り紙を見て、側近3人が人混みに紛れる。端によったゼンと白雪の2人は周りの心地よい騒がしさを背景に3人を待っていた。
「………タンバルンにいた頃はどうしてたんだ?白雪」
「ん?…あぁ、髪?そのまま出歩いてた。クラリネスに移ってきたときも最初はそうだったよ」
「そう言われればそうか……訊いてもいいか前から考えてたんだが、何か…苦労はなかったのか?ラジのこと以前にも」
若干聞きにくそうに尋ねるゼンに一瞬キョトンとした白雪はにっこりと笑った。
「多かったけど、負けっぱなしはなかったよ
祖父母がたくましい人達で」
「祖父母?」
「そう。私が一人になる時の事を気にかけてくれてたんだって」
青空を見上げた白雪は、後から思ったんだけど、と続けた。
「なんの頼みがない時があっても、
自分で出来るところまでは何度でも絶対頑張れるんだって教えられた」
じっと白雪の横顔を見るゼンは白雪らしい言葉にふっと笑った。
「なるほど。
おまえは人を頼みにするより1人で何かに向かうところがあるなと思ってはいたが、そういう教えが根本にあったんだな」
腕を組んで白雪と同じように空を見上げたゼンを、白雪は面食らったように見つめていた。
「まあ、最近は…」
ゼンが嬉しそうに笑いながら言いかけた言葉は、白雪が腕を掴んだことによってとめられた。
「た、頼ってるよ、ゼン!」
ハテナを浮かべたゼンは、何も言わず徐々に視線を下げる白雪をみる。
「なんか、うまく示せてないかもしれないけど…。今は本当に…。だから、頑張れるんだと思う」
「…そうか?」
「うん。
どこかで負けてなくてよかった。
ここに来られてよかったよ、ゼン」
「……おまえにそう言われると、嬉しいもんだな」
ふわりと笑うゼン。
「おまえはほんとうに………突っ走るからな」
「う、うん?うん」
にっこりと笑う白雪から目をそらし、恥ずかしそうにゼンも笑うのだった。
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レイ(プロフ) - うさ丸さん» 更新遅くなってすみませんっ!コメントありがとうございます!なかなか続きをかけてないんですが、これは完結まで書きます!まだこういうふうに更新遅くなる日が続くと思いますがこれは書き続けたいと思っていますっ頑張りますっ!本当にありがとうございます!! (2016年5月9日 7時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - え、消しちゃうんすか!? (2016年5月2日 22時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - 続き気になるっすね!更新頑張ってくださいっす! (2016年5月1日 21時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 御月刃さん» コメントもありがとうございます!自分なりにこれからも頑張ります!! (2015年9月13日 8時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
御月刃(プロフ) - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2015年9月12日 16時) (レス) id: 7136332561 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2015年9月9日 12時