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59話_ ページ15

夜も更けた頃、Aは屋根の上にいた。

先程まで薬室らへんで何か騒いでいたようだけど、それも収まったようなので放置。

何も考えずに空を見上げる。


「…あー、カッコ悪」

何が、というと自分が。

『Aー!』
笑う顔を、忘れたことも、忘れようとしたこともない。忘れたいときはあったけど。

「……………今更、何もできないさ」

わかってることだ。わかっていたことだ。

「Aさん?」

「ん?オビ?どうしてこんなところに?」
ひょこっと顔を出したオビが屋根の上に登ってくる。その首からは新しい身分証を下げていた。

「…ピリピリした気配があるんで来てみたらAさんが」
「うわ、まじか」
そんなつもりはなかったんだけど……な…

「珍しいですね、Aさん」

ニヤッとしたオビに肩をすくめる。
「そんな日もあるさ」
「しっかり寝てから主とあったほうがいいですよ、確実に心配されますから」
「そんなか」
思わず吹き出すとオビもつられたように笑う。
「出会った時みたいな雰囲気でしたからね」
「あぁ、それは…だめだな」

オビに会ったときは、うん。ぐれてたと思う。

「オビ、ゼンからもらったんだ」
「?……あぁ、これですか?」

真新しい身分証。
内容は確か、第二王子付き伝令役

「にしても、Aさん考えましたねぇ」
「あれ、元案俺って聞いたの?」
「さっきまで酒飲みながら話してましたから」
「それは参加したかったな」
オビとゼンが顔突き合わせて真面目な話か。
話脱線するやつだろ

「主の瞳が綺麗って話してました」

「…くっ、あっはははははっ!良い話の選択だねオビ」
「主の瞳綺麗だと思いません?」
「それは同意する」
「でしょ?」

すっかりオビも笑っていて。

「信じるからな、なんて言われたらこっちは誤魔化すしかないんですよ」

「…そう言われたのか、ゼンらしいな」
「なんなんですか、あの人」
「ゼンだろ」
「知ってますよ」
「くくっ、あぁー、笑った」

そうか、オビは変わろうとしてるのか

「あのオビがなぁ〜」
「何ですか?Aさん」
寝転んでる俺とは違い、手で上体を支えて座る背中を見ているとオビが振り返った

「なぁオビ、ここはやっかいな場所だろ」

ポロリと出た俺の言葉にオビは目を見開いて。

「天然人たらしばっか。たまに、ここにいていいかわからなくなるくらい居心地が良すぎる。……やっかいなんだよ、ここは」

独白のような言葉を、オビは黙って聞いていた

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レイ(プロフ) - うさ丸さん» 更新遅くなってすみませんっ!コメントありがとうございます!なかなか続きをかけてないんですが、これは完結まで書きます!まだこういうふうに更新遅くなる日が続くと思いますがこれは書き続けたいと思っていますっ頑張りますっ!本当にありがとうございます!! (2016年5月9日 7時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - え、消しちゃうんすか!? (2016年5月2日 22時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - 続き気になるっすね!更新頑張ってくださいっす! (2016年5月1日 21時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 御月刃さん» コメントもありがとうございます!自分なりにこれからも頑張ります!! (2015年9月13日 8時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
御月刃(プロフ) - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2015年9月12日 16時) (レス) id: 7136332561 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイ | 作成日時:2015年9月9日 12時

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